マイホーム売却と購入時の売買契約書の紛失
- 2020.04.07
- その他
「マイホームを売却するのだけど、購入時の売買契約書が無い…」できるだけそのようなことがないように購入時の売買契約書は大事に保管しておくように気を付けなければいけませんが、紛失してしまう事。意外にありますよね。、そんな方へ注意すべきポイントと失くしてしまった場合の対応方法をお教えいたしますので、是非参考にしてください。
購入時の売買契約書が無い場合
まず、マイホームを売却する時に購入時の売買契約書が無いとどうなるかですが、厳密にいうと、売却時に購入時の売買契約書は必要ありません。
しかし、不動産を売却した後は税務署で確定申告をおこないます。確定申告は所得税を確定するためにおこないますが、売却によって利益が出た場合に所得税が発生し、損が出た場合には所得税は課税されません。税額計算する時に課税金額を算出する必要があります。それをもとに税率をかけて計算しますので、その際には必要になってきます。
【課税譲渡所得金額の計算式】
課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)
計算式の中の「収入金額」とは売却金額のこと、「取得費」は購入金額と買ったときの諸費用の合計、「譲渡費用」は売却時の諸費用のことです。
購入時の売買契約書がないと、課税譲渡金額を算出する「取得費」が証明できないことになってしまいます。その場合の取得費は概算で求めるようになり
概算取得費=売却金額×5%
と計算するようになります。
【ケーススタディ】
15年前に5,000万円で購入したマイホームを、4,000万円で売却(諸経費100万円)したとして、土地建物を4,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売却金額の5%で200万円を取得費となります。5,000万円で購入した土地建物であっても、購入時の売買契約書なければ、200万円で購入したことにされます。
課税譲渡所得金額は
購入時の売買契約書がある場合
4,000万円-(5,000万円+100万円)=-1,100万円
購入時の売買契約書がない場合
4,000万円-(4,000万円×5%+100万円)=3,700万円
売買契約書がある場合は、マイナスになっていますので非課税です。ない場合は今回の売却で3,700万円もの大きな利益が出たことになってしまいます。
しかし、マイホームの売却は3,000万円の特別控除の特例が適用できます。課税譲渡所得金額から最高3,000万円まで控除できますので、3,000万円特別控除後の譲渡益は
3,700万円-3,000万円=700万円
また、10年以上所有している場合は軽減税率の特例が適用されますので、10年超所有軽減税率の特例適用後の税額は
700万円×14%=98万円
このように本来、購入時の売買契約書があれば非課税のところ、なければ98万円の譲渡所得税が課せられることになります。売却時の特例がありますのであまり税金が課せられることもないかと思いますが、本来払わなくていいものを払わなければならなくなってしまうのは、かなりショックですよね。これを見ると売買契約書は置いておくに越したことはありません。
売買契約書をなくしてしまった時の代替え策
ただし、万が一購入時の売買契約書を紛失してしまった場合でも、代替え書類を用意することで認めてもらえることもあるようです。代替え書類というのは
*マイホーム購入の出入金が証明できる通帳
*マイホーム購入時の領収書
*仲介業者の計算明細書
*マイホーム購入時のチラシやパンフ
*住宅ローン控除のための確定申告書
*土地建物の登記簿謄本(抵当権の債権額の記載がある場合)
*住宅ローンの返済予定表などです。
まとめ
あくまでも、税務署の判断によりますが、可能な限り用意して信ぴょう性の高い書類だと証明できれば税務署も認めてもらえることもあるようです。しかし、税務署としてもやはり売買契約書そのものが間違いないので、気になった方は一度、売買契約書がちゃんと保管されてあるかどうか確認してみましょう。
最後に、マイホーム売却をする時に必要な書類をまとめておきます。
*登記簿謄本または登記事項証明書
*売買契約書
*重要事項説明書
*登記済権利書または登記識別情報
*土地測量図・境界確認書(戸建ての場合)
*固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
*建物図面
*設備仕様書
*建築確認済証および検査済証
*マンションの管理規約または使用明則(マンションの場合)
*マンション維持費関連書類(マンションの場合)
通常は購入時の売買契約書と一式になってまとまっていると思いますので、是非確認してみてください。
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