任意売却物件のメリットとデメリット ~不動産の購入者向け~
- 2020.04.11
- 任意売却
任意売却物件とは、住宅ローン返済や税金などの支払いが困難になった人、離婚による自宅の処分などで通常売買ができないオーバーローン状態の所有者が債務を返済する目的で債権者との話し合いのうえで売出している物件のことです。
ローンの滞納や税金滞納はあるかもしれませんが、火災や死亡事故などのような事故物件ではありません。
任意売却物件を購入するメリットとデメリット、検討する際の注意点をまとめますので参考にしてください。
任意売却物件のメリット
❶通常売買と比べて価格が安い
任意売却物件の価格は債権者が設定します。債権者はローン回収をしたいので、限られた期間(3~6ヶ月)のなかで確実に販売できる価格に設定します。また、デメリットにも繋がりますが瑕疵担保責任が免責されるなどの理由から、通常売買で同じような条件の物件価格より1~2割程安く購入できることが多いといえます。
たとえば、通常の不動産取引で売買価格が3,000万円の場合、任意売却の物件であれば、2,700万円前後で購入できる可能性があるということです。
❷競売物件よりもリスクが少ない
相場よりも安く購入できるというところでは競売物件と同じようですが、リスクは競売物件と比べて少ないです。
例えば、任意売却物件については債権者の承諾が必要ということ以外は、通常売買と同じ流れで売主と対面契約が可能です。競売物件は、執行官以外は物件の中に入ることができず内覧ができませんが、任意売却物件は内覧が可能ですので購入前に物件の様子をご自身の目で確認する事が可能になりますので、是非事前に内覧する事をお勧め致します。また、任意売却の売却代金から引越し費用を確保するため、引渡し日までに引越しも完了しており居座られる心配もありません。
❸住宅ローンが使える
競売物件を購入するためには、一括で購入するだけのキャッシュが必要になります。任意売却物件は、自身が住むために購入するのであれば住宅ローンを組んで購入することも可能です。ただし、任意売却は時間的制約があるため、金融機関と連携を上手く取って事前審査を進めておく必要があります。
任意売却物件のデメリット
❶時間がかかる
通常売買と比べて時間がかかります。通常の不動産売買であれば、やあらゆる条件交渉は売主判断でできますが、任意売却物件は債権者の同意が必要となりますので時間がかかります。
また、金額に関しても、任意売却の売出金額自体が住宅ローンの返済のために債権者が設定している価格なので、住宅ローン返済計画に影響を及ぼすような値引き交渉は難しいでしょう。もともとが、通常売買から比べても低い設定となっていますので決定している価格で、期間に余裕をもって臨むようにしましょう。
❷契約不適合責任が免責
通常、中古物件を購入後に物件の欠陥が発覚した場合、売主に契約不適合責任を主張し修繕費負担を請求することができますが、任意売却物件の売主はローン返済の困難者で、そもそも契約不適合責任を負えないため、契約不適合責任を免責にする契約を締結することになります。そのため、物件の購入後に不具合が見つかった場合は、購入者が修繕費を負担しなければなりません。その分、販売価格が低めに設定されています。
ただし、売主が不具合を知っていながらその旨を告げずに販売した場合は、契約不適合責任免責の特約があっても責任を問われる場合があります。
不動産取引は売主・買主、販売仲介業者と関係する立場の信頼関係が構築して成立するものですから、事前に分かっていることは売買契約書等で共有する必要があります。この辺りは私自身も取り扱う際はトラブルのない取引を第一に心がけております。
❸残置物がそのままの場合もある
通常、物件の引き渡しをする場合、物件内にある家財・残置物については原則売主にて処分することになります。しかし、任意売却物件や競売物件の場合、室内の残置物すら撤去する資力のない売主がほとんどです。そこで、売主にて対処が難しいと判断された場合は売買契約書に条文を明記して買主側で処分するようにします。 ※取り決めがされていない場合は、勝手に処分すると問題になる可能性がありますので注意しましょう。
このように任意売却物件は、通常売買の相場と比べても安く購入できるメリットがある一方、後々トラブルになりかねないデメリットもあります。一番の悩みは目に見えない部分だと思います。そこで対処法としては、「住宅診断」を購入前に買主負担で行うことができます。
住宅診断(ホームインスペクション)とは
購入前に、物件のコンディションを把握しておくことで安心して取引を行うことができると思います。住宅診断とは、住宅診断士が第三者的な立場から、また専門家の立場から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめアドバイスを行うことです。
目視で行う「一次診断」の場合、屋根や外壁、室内、小屋裏、床下などの劣化状態を診断するのが基本です。
この辺りの費用は5~6万円前後が相場になります。また機材を使用する「二次診断」の場合は10万円前後が相場になります。住宅購入判断のために購入希望者が利用するので、やはり購入希望者が費用負担するのが一般的なことです。
ある程度、対象物件を気に入っている状況であれば、購入後に後悔しないためにも、住宅診断をすることによって見えない部分の不安を回避できるのではないでしょうか。欠陥の有無、改修の費用等が事前に把握できれば他の物件との比較であったり、住宅ローンの返済が目的であるため、あまり期待はできませんが少しばかりの値引き交渉もできるかもしれません。
以上が購入者様向けの任意売却物件のメリットもデメリットになります。この辺はよくご理解したうえで、対策をしデメリットを回避することができれば、思いもよらない優良物件に出会えるのではないでしょうか。
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