任意売却の引越し代について
- 2020.05.11
- 任意売却
住宅ローン返済のために任意売却を選択したのだけれど、売却代金で返済して手元にお金が残らなければ引越しができないのでは…。と不安になられるお気持ちはあると思いますが、任意売却の多くは、債権者が売却代金の中から引越し費用の確保を認めてくれる場合が多く、債務者の新生活をスムーズにスタートが切れるようにしてもらうことができます。
この引越し費用を確保できるということは、競売と比較して、任意売却のメリットのひとつです。
競売の場合
競売の場合は、落札者の考え方に大きく差があります。
というのも、最近では転売を目的とした不動産業者競売ビジネスへの参入も増えてきております。そのような場合ですと、あまり余計な費用をかけたくないと考えているため立退料や引越し代を出すという考えが一切ないことが多いです。一方、あらかじめ立退料や引越し代を落札価格に含めて考えている落札者もおり、その場合、10万円程度までの予算で考えているようです。ただし、こういう考えを持っている落札者と出会うことは本当に稀です。
落札され売却許可決定が出ると、落札者が競売の代金を納付します。そうすると所有権は落札者の物となります。そこでいつまでも居続けてしまうと不法占拠者となり、法的に追い出されることになります。落札者は不動産引き渡し命令の申立てを裁判所に行い、あなたに引越し費用がないなどの事情があっても立ち退かない場合は強制執行を申立てます。強制執行日までにあなた自身で立ち退くのが通常ですが、それでも立ち退かない場合は強制執行が行われてしまいます。
これまでに、立退料や引越し代の交渉を上手くできれば良いのですが、屈辱的なことを言われたり、精神的な苦痛を大きく伴うことは間違いないと思います。
任意売却の場合
債務者の中には、任意売却においては引越し代が売却代金から控除されて当然だという間違った解釈をしている人がいます。しかし、任意売却においても、引越し代は、債権者や購入者にとって支払い義務はなく、債権者側の多くは、任意売却をしようとするお客様は金銭的に厳しいだろうと承知しています。住宅ローンも払えないほど困窮している人に引越し費用の捻出は難しいでしょうという、あくまでも善意で確保してくれています。
一方で、引越し代を認めてもらえないケースもあります。それは、お客様に貯蓄がある。自動車や貴金属などお金に換金できる資産がある。金銭的に頼れる身内がいるなどの場合は認めてもらえないこともあります。
このように、債権者側の善意により引越し代を確保できる可能性の高い任意売却の方が、競売より精神的な苦痛もなく新生活をスタートできる理由のひとつです。
引越し代の相場
あくまでも、債権者との交渉で決まりますのでまちまちですが、10~30万円が相場といえます。ただし、新生活をスタートするにあたっては引越し代だけでなく新居の初期費用もかかってきますので、債権者から確保してもらえる引越し代だけで賄えないことがほとんどです。そういうことを踏まえて住宅ローンを滞納しているうちにある程度お金は準備しておく必要はあります。
まとめ
任意売却は、債権者側からも競売と比べて、高い金額で債権の回収が見込めるというメリットがあります。そして、債務者支援の観点からスムーズな生活再生を送れるように善意で引越し代金の融通をしてくれます。
また、引越し代を出してもらえるようにする債権者との交渉は、任意売却を任せる仲介業者の手腕によるところが大きいです。債権者との的確でスムーズなやり取りが必須となり、債権者との信頼関係が重要となります。債権者から見て債務者は、原因はどうあれ住宅ローンを破綻させてしまったというところで、厳しいですが信用はありません。その債務者の代わりとして債権者と何度も交渉、説得をしていきます。なかなか簡単にはいきません。やはり、やり取りに精通している専門家が交渉をおこなわなければ信頼獲得とまでは行かずまとまらない可能性もあるでしょう。
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