任意売却の販売価格について
- 2020.05.12
- 任意売却
任意売却は、住宅ローンの返済のための売却になりますので、販売価格は、完済できないにしても適正な価格でなければいけません。
販売価格は、仲介を行う任意売却専門業者が物件調査・査定を行い、債務者(依頼者)確認のうえ債権者に提示します。債権者が同意することで決定します。ここで、安すぎる設定であれば債権者が納得せず、任意売却に同意してもらえなくなってしまうことを考えなければいけません。
逆に、高く設定すればいいのかというと、そういう訳でもありません。任意売却物件は一般物件と比べて「契約不適合責任が免責」「現状有姿渡し」などの理由から、一般市場価格と同等という訳にはいきません。債務者(依頼者)にとっても、高い金額で売却できるに越したことはないですが、購入者が現れなければ競売へと進んでしまいます。
購入者のリスク
契約不適合責任が免責というのは、通常、中古物件を購入後に物件の欠陥が発覚した場合、売主に契約不適合責任を主張し修繕費負担を請求することができますが、任意売却物件の売主はローン返済の困難者で、そもそも契約不適合責任を負えないため、契約不適合責任を免責にする契約を締結することになります。そのため、物件の購入後に不具合が見つかった場合は、購入者が修繕費を負担しなければなりません。
現状有姿渡しというのは、通常、物件の引き渡しをする場合、物件内にある家財・残置物については原則売主にて処分することになります。しかし、任意売却物件や競売物件の場合、室内の残置物すら撤去する資力のない売主がほとんどです。そこで、売主にて対処が難しいと判断された場合は売買契約書に条文を明記して買主側で処分するようにします。取り決めがされていない場合は、勝手に処分すると問題になる可能性がありますので注意しなければなりません。
また、一般物件であればキレイにリフォームして高く販売することも可能ですが、リフォームする費用も捻出できませんので現状有姿渡しということになります。
購入者からすると、このような費用負担リスクのある物件だと見なされますので、市場価格と同等という訳にはいかないのです。
適正価格とは
債務者(依頼者)は出来るだけ高い販売価格でというお気持ちがあることは重々承知していますが、買い手がつかなければ元も子もありません。一般市場相場同等の設定をしても到底売れる見込みがないと判断されると債権者が同意しません。
それでは、適正価格とはどういうことかというと、私たち任意売却専門業者が物件の調査・査定をする際、まず、対象物件の近隣の売買成約事例などの一般市場相場を調べます。次に、購入者リスクを把握するために、対象物件の状態を調査します。部屋の汚れや、破損、雨漏りなど、場合によっては住宅診断を取り入れ、構造体力上問題がないかを調査しリフォーム業者に見積もりを取ったりもします。一般市場相場から購入者リスクを勘案した金額、尚且つ債権者が納得し同意を得られる金額が適正価格と言えます。
ここで、どうせ契約不適合責任は免責なのだから根掘り葉掘り調べなくてもと思われがちですが、売主が不具合を知っていながらその旨を告げずに販売した場合は、契約不適合責任免責の特約があっても責任を問われる場合があるのです。
不動産取引は売主・買主、販売仲介業者と関係するものの信頼関係が構築できて成立するものですから、事前に分かっていることは売買契約書等で共有するように、私たちもトラブルのない取引を心がけております。
まとめ
任意売却の販売価格は、競売と比べて高い金額で取引きができます。ただし一般市場同等という訳にはいきません。低すぎても債権者に同意してもらえませんので適正価格を査定する必要があります。また、任意売却には期限がありますので、期限までに成立させなければ債権者は競売を進めてしまいます。ですので、決められた期間内でスムーズに販売を進めるためには、任意売却の経験が豊富な専門業者に依頼するようにしましょう。
依頼自体は普通の不動産会社にもできますが、債権者との交渉や、調査や査定方法が一般物件とは違うため、慣れない人が行うと戸惑い、スムーズに運べないことが多々あります。
私たちは、住宅ローン返済の相談窓口として、住宅ローン関連、不動産調査・査定、任意売却、債務整理などあなたの状況に応じた最適な解決方法をご提案いたしますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。