保証会社と債権回収会社
- 2020.05.15
- 住宅ローン
以前は、金融機関からお金を借りる場合、支払いが滞った時に備えて連帯保証人を立てる必要がありました。しかし、住宅ローンにおいては、購入する住宅自体が担保となっていることで、金融機関側の貸倒れリスクが回避されることから、基本的に連帯保証人は立てず「保証会社」を利用する形で契約をするように変わっていきました。
保証会社とは
保証会社とは、保証人の役割を代行する会社のこといい、住宅ローンの契約時に債務者(あなた)が、借入額の約2%の保証料を支払うことで保証人の代わりをしています。万が一、住宅ローン返済の支払いができなくなった際は、債務者に代わって保証会社が銀行に返済をします。保証会社は通常、銀行の子会社のケースが多いです。
債権回収会社とは
そして、債権回収会社とは、1999年に「債権管理回収業に関する特別措置法」が施行され、それまで、債権回収は弁護士や弁護士法人以外の者が業務を行うことができませんでしたが、これにより、法務大臣の認可を得た民間の債権管理回収専門業者が、弁護士法の特例として債権回収業務をおこなうことが認められました。
債務者が住宅ローン返済の支払いを3~6ヶ月滞納し、銀行が「催告書」を届けても債務者が応じない場合は、銀行は債務者に代わって保証会社に住宅ローン残額の一括返済を求めます(代位弁済)。このように債務者に代わって返済がされたとしても、債務者の支払い義務がなくなったわけではありません。今度は、債務者は保証会社から住宅ローン残額の一括返済を求められるようになります。
つまり、債権の移行がされ、回収業務を保証会社が実施するようになることから、住宅ローン返済の支払先が、銀行から保証会社に代わるのです。保証料はあなたが支払っているのですが、銀行は損しない仕組みになっています。
住宅ローン契約時に、返済期限(約定返済日)を設定し「毎月決まった金額を、35年で返済してください」という約束のもと融資を受けます。これを「期限の利益」といいます。しかし、債務者がこの約束を破ってしまう(期限の利益喪失)と代位弁済され、債権は保証会社に移行してしまいます。
保証会社と債権回収会社の違い
そこで、保証会社と債権回収会社の違いですが、銀行融資の住宅ローンは保証会社の保証契約とセットの場合がほとんどです。住宅金融支援機構の場合は、保証会社との契約や保証金の支払いがないので、期限の利益喪失した場合も債権は機構に残ります。しかし、その債権回収業務は「債権回収会社(サービサー)」に委託しています。
つまり、銀行融資の場合は、期限の利益喪失になり代位弁済されると、債権者が保証会社に移行されます。住宅金融支援機構の場合は、期限の利益喪失になり債権そのままで、債権回収業務を「債権回収会社(サービサー)」に委託するようになります。
よって、任意売却の交渉は、「保証会社」「債権回収会社(サービサー)」とおこなうことになります。
また、任意売却後の残債については、債権者と話し合いのうえ債務者が返せる範囲で支払うことにはなりますが、債権者が債権回収会社(サービサー)に債権譲渡することが珍しくありません。その際の対応は弁護士などへ相談することになります。
任意売却した後の住宅ローンの残債については、借入先によっても対応が違いますが、一般的な銀行の場合、任意売却後の債権は債権回収会社に売却してしまいます。債権回収会社は、金融機関からまとめて債権を購入しますが、不良債権を額面通りは購入しません。おおよそ額面の5~10%ほどの金額が相場のようです。はじめから回収は難しいものだと承知をしています。
債権回収会社は、買い取った債権を回収するため債務者に督促を行いますが、厳しい法律で規制されているので、債務者が昔のドラマや漫画のように違法で過激な取り立てをされ怖い思いをするようなことにはなりません。基本的には債務者が返せる範囲で支払うことにはなりますが、中には全く督促がないというケースもあるようです。
任意売却をおこなう交渉は私たちにお任せいただければ問題ありませんが、残債の整理は基本的に債務者ご本人か司法書士・弁護士がおこなわなければなりません。私たちグループに司法書士・弁護士がいますので、お悩みの際は住宅ローン相談窓口としてお気軽にご利用ください。