競売と任意売却を比較してみて見えてくるモノ
- 2020.04.02
- 任意売却
競売とは、債権者(金融機関・保証会社)が民事執行法に基づき、債権回収のために裁判所に対して申立てをし、その不動産を強制的に売却する手続きです。
一般的に住宅ローンが支払われなくなると、抵当権を設定している債権者(金融機関)からあなたに「支払い請求書」や「催告書」が届きます。それでも応じなければ住宅ローン延滞3ヶ月目を目処に債権者(金融機関)からあなたに「期限の利益喪失通知」が届きます。住宅ローンの滞納を続けてしまうと、契約を破ることとなり、月々分割で支払う権利を失ってしまいます。これ以後住宅ローンは一括返済しなければならなくなります。
月々の支払いも厳しい人が一括返済は限りなく難しいですので、保証会社があなたに代わり債権者(金融機関)に返済します。これを「代位弁済」といいます。そうなると、今度は保証会社が債権者となり、あなたに住宅ローンの残額、滞納時の遅延損害金なども含めて一括返済を求めます。しかし一括返済がされない場合、そのまま競売の手続きが進められます。
任意売却とは、住宅ローンが払いきれない人が、競売を避けて自宅を市場で売ることを目指すものです。
最終的な目的は、自宅を売却したお金で住宅ローンの滞納分の返済に充てることで、競売も任意売却も同じですが、なぜ競売を回避したほうが良いのか以下にまとめてみます。
競売の実態
競売は、債権者(金融機関・保証会社)と裁判所で手続きがどんどん進められ、あなたは為す術がなく置き去りにされてしまいます。債権者や裁判所と話をする機会はほとんどありません。自宅を強制的に退去させられた後、生活を維持できるように組み立てができる余地がほとんどありません。
競売開始決定通知が出ると、裁判所の執行官が建物内に入ってきて、室内の写真を撮影したり室内の状況を確認したりします。そして、競売の公告がされると、裁判所は競売参加者を募るために物件の所有者(あなた)や債権者の氏名、所在地などを公開します。さらに日取りが決まると、不動産の評価や差押え、諸権利関係や使用状況、建物外観や屋内の写真なども広く一般公開します。この情報は不動産競売情報サイトにも掲載されるので不特定多数の人に見られてしまいます。
また、競売物件は裁判所の執行官以外は物件の中に入ることができず内覧ができなかったり、一般の売買では契約不適合責任が付きますが、競売物件は一切保証がなかったり、買い手のリスクが多い売買となるので高値が付けられません。およそ市場価格の5~6割程度で売却されます。売却代金は住宅ローンの残債返済に充てられますので、安価で売却すれば当然、残債が多く残ります。
最後には、競売の代金が落札者から納付されると、所有権は落札者の物となります。落札者は不動産引き渡し命令の申立てを裁判所に行い、あなたに引越し費用がないなどの事情があっても立ち退かない場合は強制執行を申立てます。強制執行日までにあなた自身で立ち退くのが通常ですが、それでも立ち退かない場合は強制執行が行われてしまうのです。
このように、競売は金銭的にもそうですが精神的に大きなダメージが残ってしまいます。
任意売却の特徴
一方、任意売却は、住宅ローン滞納3~6ヶ月して債権者(保証会社)から「代位弁済通知書」が届いた後に、「任意売却に関する申出書」が届きます。あなたは不動産仲介業者を選び任意売却の活動が始まります。
専門不動産業者(不動産の中でも、任意売却の専門業者が好ましい)が債権者(保証会社)との窓口となり、対象物件の調査・査定をして、市場価格に近い売出価格を承認してもらう。また、あなたが支払うべき不動産売却時の諸経費(手数料・登記費用・引越し費用など)が持ち出しにならないように、売却代金からその諸経費を控除してもらえるように交渉してくれます。売却した後の残債を無理なく計画的に分割返済できるように調整してもらう。このような交渉をしていきます。
裁判所の介入のある競売とは違い、通常の不動産取引と同様に、周りからは何事もなかったか様に解決していきます。また、条件もありますが、場合によっては買主から賃貸物件として借りることで売却後もそのままご自宅に住み続けられることもあります。
ただし、任意売却の活動期間は通常6ヶ月間。その期間で売却できなければ、競売の開始決定がなされます。
まとめ
これだけ見たら一目瞭然で違いが判りますね。自分の意思と関係なく強制的に粛々と進められていく競売と、自分の意思を考慮してもらえる任意売却。金銭的、精神的なダメージは大きく変わってくるかと思います。皆様が、新たなスタートを切る一つ指標としてみて下さい。
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