住宅ローンが払えなくなると
- 2020.05.21
- 住宅ローン
住宅ローン返済が支払えなくなると、すぐに家を追い出されてしまうようになると思っていらっしゃる人は多いのではないでしょうか。実は、そんなことはありません。その後、追い出されるまでに色々と起こりますが、住宅ローンの支払いを滞納したまま、おおよそ10ヶ月は住むことが可能です。逆をいえば、何もしなければ10ヶ月で追い出されてしまいます。
返済の滞った住宅ローンは、金融機関にとっては不良債権です。債権者(金融機関)が担保物件を売却することで、債権回収をするということです。要するに、「競売」の申立てをして落札代金で回収するということです。競売が完了すると追い出されてしまいます。
それまでに、できるのであれば手を打たないといけませんし、売却するにしろ競売以外の方法はないのか見ていきましょう。
銀行・金融機関からのアプローチは無視しない
住宅ローンの支払いを滞納すると、まずは、支払い催促の電話連絡がきます。それでもなかなか支払いの目処が付かないでそのまま放置でいていると『支払い請求書』が届き、住宅ローン滞納分の遅延損害金が請求されます。
ここで、一番大事なのは、銀行や金融機関のアプローチを無視しないことです。あなたが悪質な借り手でなければ、銀行へ出向いて、なぜ返済ができない状態に陥ってしまったか、条件変更で対策を考えられるかを相談しましょう。状況によっては、一時的な返済猶予や、返済期間の延長などの条件変更を見直してもらう事により返済が可能となり、マイホームを手放さなくてよくなります。
銀行や金融機関のアプローチを無視し続けてしまうと、いざという時に話に応じてもらえなくなり競売へ一直線になってしまいます。
家計の資金繰りが難しくなる原因というのは人それぞれですが、病気やケガ、親の介護、ボーナスカット、転職、会社の倒産などで、今までの様な収入が見込めなくなったり、子どもが私立の高校・大学に通うことになり当初から予定外の出費がかかることになったというように、誰にでも起こり得る事です。
このような不測の事態の際は、銀行や金融機関によっても違いはありますが、リスケ(リスケジュール)の相談に応じてくれるようになっています。
個人再生を検討する
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用して,住宅ローン等の住宅資金貸付債権については従来どおり(又はリスケジュールして)弁済を継続することによって,自宅・マイホームを処分されないようにしつつ,住宅ローン以外の借金だけを個人再生によって減額・分割払いとする
任意売却を検討する
銀行や金融機関に出向いてリスケの相談しても、効果的な解決策に至らなかったときは、マイホームを売却した代金で住宅ローンを返済しなければいけません。その方法としては、「競売」か「任意売却」です。
競売は、債権者(金融機関・保証会社)が民事執行法に基づき、債権回収のために裁判所に対して申立てをし、その不動産を強制的に売却する手続きです。あなたは為す術がなく置き去りにされ、退去後に新生活を送るための準備など、債権者や裁判所と話をする機会はほとんどありません。
競売開始決定通知が出ると、裁判所の執行官が建物内に入ってきて、室内の写真を撮影し状況を確認したりします。そして、競売の公告がされると、裁判所は競売参加者を募るために物件の所有者(あなた)や債権者の氏名、所在地などを公開します。さらに日取りが決まると、不動産の評価や差押え、諸権利関係や使用状況、建物外観や屋内の写真なども広く一般公開します。この情報は不動産競売情報サイトにも掲載されるので不特定多数の人に見られてしまいます。
また、競売物件は、内覧ができなかったり、契約不適合責任が免責であったり、買い手のリスクが多い売買となるので高値が付かず、およそ市場価格の5~6割程度で売却されます。落札代金は住宅ローンの残債返済に充てられますので、安価で売却すれば当然、あなたの残債が多く残ります。
最後には、落札代金が納付されると、所有権は落札者の物となります。落札者は不動産引き渡し命令の申立てを裁判所に行い、あなたに引越し費用がないなどの事情があっても立ち退かない場合は強制執行を申立てます。強制執行日までにあなた自身で立ち退くのが通常ですが、それでも立ち退かない場合は強制執行が行われてしまうのです。
このように、競売は金銭的にもそうですが精神的に大きなダメージが残ってしまいます。
一方、任意売却は、上記の競売を回避するために、債権者(金融機関)の同意を得て自宅を一般市場で売却を目指すものです。競売と比較して、市場に近い価格で売却ができる。残債について債権者と話し合いができ返済方法も計画的に分割返済ができる。債権者との交渉で、引越し代などが持ち出しにならないように売却代金から諸経費を確保してもらえる可能性がある。また、ご近所に一般売買と同じように何事もなかったかのように売却ができます。
債権回収を目的としている債権者も、競売より高値で売却できるというメリットがあるので、同意してもらえる傾向にあります。任意売却は、あなたにも債権者にもメリットのある方法なのです。
自己破産
銀行や金融機関のリスケ、任意売却でも上手くいかなかった場合は、最終的に競売でマイホームを売却することになります。任意売却で上手くいかなかった原因としては、色々あるとは思いますが、大きくは以下の通りです。
❶不動産の状況が良くない
あまりにも需要のないエリアであったり、物件自体の状態が良くないなど、購入希望者が現れない場合は成立しません。
❷販売価格が高い
任意売却の売却価格は債権者が決定をします。債権者は1円でも高く売却できればその分回収ができるという考えです。なかなか売れないから値下げをといっても同意しません。その場合、仲介する業者の粘り強い交渉力が重要になってきます。積極的な販売活動をしたにも関わらず債権者が値下げ交渉に同意してもらえないというのは考えづらいです。しかし、競売での見込み額よりも低い額での交渉は不可能です。
❸関係者が協力的でない
購入希望者が物件の内覧を希望しても「面倒くさくて」と対応しなかったり、離婚している共有名義の配偶者と連絡が取れないなど、関係者が非協力的だと購入希望者が現れても成立しません。
このような理由などで、任意売却が成立しなかった場合は、債権者が裁判所に競売の申立てをして手続きが進められます。
競売にしろ、任意売却にしろ、売却代金で住宅ローンの残債をすべて返済することはできず、どうしてもローンが残ります。任意売却の場合は債権者と話し合いができ、計画的に分割返済ができるようになりますが、競売の場合は分割返済を認めてくれないことが多く、一括返済を求められます。当然一括返済ができない場合は、債務整理の相談をということになります。
この場合の債務整理は自己破産が多いです。全ての債務を免責にしてもらう手続きです。自己破産は、ほとんどすべての財産を失うことにはなりますが、必要最低限の財産を残すことも保障されていますので、行き詰まってどうしようもない、もう限界だという状況であれば、最終手段として有効な方法だと思います。これまでの借金返済の重圧から解放され、苦しい経験をされたからこそ、無駄使いもすることもなくなり良い再スタートが切れるのではないでしょうか。
まとめ
見て頂いた通り、住宅ローン返済ができなくなっても、それぞれの段階でできる事はあります。まずは、銀行や金融機関へ返済条件の見直し、そして、個人再生、任意売却、最後に、競売からの自己破産。時間が経過していくにつれて選択肢は限られていきますので、できるだけ早い段階で行動することです。一番良くないのは何もせず放置することです。何もしなければ10カ月後にはマイホームから追い出されることになってしまいます。
私たちは住宅ローン返済の相談窓口として、住宅ローン関連、債務整理、任意売却などあなたの状況に応じた最適な解決方法をご提案いたします。どんなことでも、できるだけ早めにお気軽にご相談ください。