任意売却での誤解
- 2020.05.29
- 任意売却
任意売却は競売と比較してメリットは大きいです。しかし、そのメリットばかりが強調されすぎて、後々こんなはずではなかったとトラブルになるケースもあるようです。あらかじめリスクやデメリットを理解しておくことで、そのようなトラブルは回避できるのではないでしょうか。
ブラックリストについて
任意売却を選択するということは、住宅ローン返済の支払いを数ヶ月間滞納していることになるので、任意売却する人は金融事故があったことを信用情報機関に登録されます。ブラックリストに載ります。
任意売却だけに関わらず、キャッシングやクレジットの返済を滞納した人、個人再生、自己破産をした人など、ブラックリストに事故情報を登録された人は、一定期間(5~10年)は以下のような生活に制限がされます。
*新規借入れができない(住宅ローン・自動車ローン・消費者金融など)
*クレジットカードの利用と新規発行ができない
*ETCカードの利用ができない
*携帯電話・スマートフォンなどの分割払い購入ができない(一括払い購入はできる)
*他人の保証人になれない
当然、金融機関の判断としては、金融事故を起こしてしまった人は信用がありません。ですので、ブラックリストに登録された原因により期間は違ってきますが、一定期間は色々と制限のある生活を送らなければ信用回復はしません。
任意売却後の残債務について
「売却金額>住宅ローン残債」のアンダーローン状態であれば一般売却(通常売却)で住宅ローンの完済ができてしまいますので何の問題もありません。しかし、任意売却は、「売却金額<住宅ローン残債」のオーバーローン状態での売却を債権者の同意を得て一般市場で売却する方法です。任意売却は、売却金額で住宅ローンの返済をしても残債は残ってしまいます。
中には、「任意売却した後の残債務は、払う必要がありません」というような謳い文句で営業をしている不動産会社も目にすることもあります。
例えば、住宅ローンの残債2,000万円を任意売却の1,500万円で返済しても500万円が残ってしまいます。この500万円をどのように返済していくかというと、債権者と返済計画の話し合いをして、月々を無理のない金額(5,000円~数万円)で返済していくか、債務整理をして残債を免責にしてもらうという選択肢になってきます。
任意売却後の残債が予想よりも多く、月々の返済だけでなく生活していくのも厳しいという場合は、生活保護の申請や、司法書士・弁護士へ相談のうえ最終手段として自己破産の手続きをとるご提案をする可能性もあります。
任意売却した後の住宅ローン残債はゼロにはなりません。
引越し代について
任意売却が成立した後の引越し代については、債権者側が売却代金から確保していただけるケースがほとんどです。しかし、当然貰えるものだという考え方は間違っています。
債権者や購入者にとって、引越し代の支払い義務はありません。債権者側の多くは、任意売却をしようとするお客様は金銭的に厳しいだろうと承知しています。住宅ローンも払えないほど困窮している人に引越し代の捻出は難しいでしょうという、あくまでも善意で確保してくれています。
一方で、引越し代を認めてもらえないケースもあります。それは、お客様に貯蓄がある。自動車や貴金属などお金に換金できる資産がある。金銭的に頼れる身内がいるなどの場合は認めてもらえないこともあります。
「引越し代は必ずお渡しできます」や「引越し代○○万円確保できます」という謳い文句で営業している不動産会社も目にすることもあります。
引越し代を出してもらえるようにする債権者との交渉は、任意売却を任せる仲介業者の手腕によるところが大きいです。仲介業者は、信用を失った債務者の代わりとして債権者と何度も調整、交渉をしていきます。そう簡単なことではありません。的確でスムーズなやり取りが必須となり、債権者との信頼関係が重要となります。
やり取りに精通している専門家が交渉をおこなわなければ、信頼獲得までいかず上手くまとまらない可能性もあります。
まとめ
住宅ローン返済に困っているという気持ちの弱みに付け込んだ悪質な不動産会社も中にはあります。「任意売却後の残債務の請求はされません」や「引越し代は必ず○○万円渡せます」などと、あまりにも上手すぎる話に惑わされないようにしましょう。
私たちは、住宅ローン返済の相談窓口として、住宅ローン関連、不動産調査・査定、任意売却、債務整理などあなたの状況に応じて、できる事、できない事、最適な解決方法を正直にご提案いたします。不安なこと、お悩み、疑問などどんなことでも、お気軽にご相談ください。