任意売却の配分表とは
- 2020.06.01
- 任意売却
任意売却では、不動産売却時に様々な経費がかかります。不動産仲介手数料や抵当権抹消登記費用などです。
すでに破綻している状態の人では持ち出しで用意することができませんので、売却代金から捻出をするのです。任意売却での販売活動をして購入希望者から買付証明書を貰うと、売却代金の中からその必要経費を控除してもらうように「配分表」を作成し、債権者(保証会社・金融機関)に提出します。
債権者は、その配分に妥当性があるかを確認して承認をします。それでは、どのようなものが必要経費として認めてもらえるか、住宅金融支援機構の「売却予定価格・控除費用明細書」をもとに見ていきましょう。
❶不動産仲介手数料
多くの債権者は、売却代金の中から不動産売買の正規の手数料、売買価格×3%+6万円の控除を認めています。中には2%までと設定している債権者もいますので、状況に応じてになります。
❷抵当権抹消登記費用
抹消1件1万円以内+印紙代+登録免許税(機構の場合)、その他は債権者により異なり、担当者に登記費用の上限を確認すれば教えてもらえます。
❸滞納管理費・修繕積立金
対象物件がマンションの場合、過去5年以内の滞納管理費・積立金も控除してもらえます。ただし、遅延損害金、駐車場・駐輪場代の滞納分など控除が認められません。そのような認められないものは売主が負担する、買主が債務を引継ぐ、管理組合と交渉して免除してもらうかの3択になります。
❹後順位抵当権者係る抵当権抹消応諾費用
いわゆるハンコ代です。対象不動産に抵当権を設定している債権者が複数いる場合があります。任意売却は、すべての債権者の同意がなければ成立しません。同意というのは抵当権抹消に応諾してもらう事です。売却代金は、第一順位抵当権者が後順位抵当権者に売却代金の中からハンコ代(抵当権抹消応諾費用)の支払いを配分し、抵当権の抹消に応じてもらい売買を成立させるものです。言ってしまえば、ハンコ代とは、後順位抵当権者への債権放棄の協力料のようなものです。
ハンコ代に決まったルールはありませんが、住宅債権管理回収機構ではハンコ代の控除基準を示しています。
第二順位抵当権者…元金の10%または、30万円のいずれか低い額
第三順位抵当権者…元金の10%または、20万円のいずれか低い額
第四順位抵当権者…元金の10%または、10万円のいずれか低い額
これを基準にして、後順位抵当権者に応諾してもらえるように交渉していく必要があります。
❺差押債権者に係る差押解除応諾費用
金融機関の抵当権抹消とは別に、税金滞納などの市区町村や税務署から不動産の差押えをされてしまっている人も数多くいらっしゃいます。任意売却の際は、当然この差押えも解除してもらう必要があります。債権者によって、上限を設定して控除を認めてもらえるケースと、まったく認めてもらえないケースがあります。
差押えを解除する場合、役所によって解除方法の考え方は異なります。基本的には、滞納額全額を納付しなければ応じてもらえないと考えた方が良いです。しかし、全額納付が難しいといったケースがほとんどでしょうから、役所に出向き、滞納金に関する今後の返済スケジュール等を打ち合わせする必要があります。そうすることによって、一部納付で差押え解除に応じてもらえるといった場合もよくあります。
❻その他
その他で多くの場合は、引越し代です。債権者によって控除を認めてもらえるかどうかは様々です。住宅金融支援機構では控除を認められるためには、残高証明書などを提出する必要があります。一切受け付けてもらえないところもありますが、認められた場合は10~30万円が相場といえます。
ただし本来、引越し代は債権者や購入者にとって支払い義務はありません。債権者側の多くは、任意売却をしようとするお客様は金銭的に厳しいだろうと承知しています。住宅ローンも払えないほど困窮している人に引越し費用の捻出は難しいでしょうという、あくまでも善意で確保してくれていますので、出してもらって当然という考え方はしない方が良いです。
まとめ
任意売却を成立させるには、売却代金の配分を、債権者が承諾できる内容で調整できるかが大きな鍵になります。できるだけ売却代金の中から費用控除してもらえる様に、持ち出しにならないように交渉をしていきます。もちろん、これら提出物の作成や先方との交渉は、任意売却を任せると選定された任意売却専門の仲介業者が行なうことで、債務者(あなた)がすることではありません。
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