住宅ローン返済を滞納しそうな人へ
- 2020.06.02
- 住宅ローン
弊社『住宅ローン返済110番』では、病気やケガ、親の介護、ボーナスカット、転職、会社の倒産など原因は人それぞれですが、何らかの理由でこれまでの収入が減少し、住宅ローンの返済にお悩みのある方々への相談を受け付けています。
住宅ローンの返済を滞納しそうだけど、もしくはもう既に何ヶ月か滞納してしまっているけどどうしたらいいのか分からないという人は是非ご相談ください。
皆さんの取り巻く環境によって対応や解決方法は異なりますが、詳しくヒアリングさせていただいたうえで出来る事、出来ない事をご提案します。
住宅ローンを滞納し放置し続けると…
住宅ローンの返済が困難になりそのまま何もせず放置し続けると、債権者(銀行・金融機関)から支払い請求の連絡や督促状が送られてきます。しかし、返済ができる目処がないからと放置してしまうと、「期日までに支払わないとあなたは一括返済するしかなくなりブラックリストに登録をします。」という内容が書かれた催告書が送られてきます。この催告書はいわば銀行からの最後通告です。
ここで、もうどうにでもなれと自棄になってはいけませんが、これをまた放置してしまうと、期限の利益喪失通知・代位弁済通知が届き、あなたの住宅ローンを保証会社が代わって一括返済をします。そして、債権者が銀行から保証会社に移行されます。保証会社は肩代わりした住宅ローンの債権回収のため、対象物件を裁判所に競売の申立てをします。そして、裁判所からあなたに「債権者の申立てにより、債権の弁済に充てるため担保不動産の競売手続きを開始し、債権者のためにこれを差し押さえます」という競売開始決定通知が特別送達で届き、競売の手続きが開始されます。
ここからは、競売の期日が決まり、そして入札・開札され落札者が決まります。新たな所有者が決まり引渡し日を設定されると、その日までに退去しなければいけません。万が一、退去せずに居ても強制退去させられます。
このように、何もせず放置してしまうと競売になり強制退去になってしまいます。しかし、この間にいくつか手を打つことは可能です。別の選択肢を考えてみましょう。
住宅ローンの滞納前
リスケ(リスケジュール)の相談
住宅ローンの返済が困難になりそうな兆候は何かしらあるはずです。そのタイミングで、住宅ローンを組んでいる銀行・金融機関に状況を説明し相談することです。やむを得ない事情であれば、返済期間の延長や、一時的な返済猶予の返済条件の見直しに応じてもらえます。
また、ボーナス併用払いの契約になっている人は、減額や無しにしたりする見直しにも応じてもらえます。返済を一定期間待ってもらえるので、その間は資金繰りは楽になります。ただし、その分返済期間が長くなるので支払う利息の総額が増えてしまうという特徴があります。
リスケの相談は、一時的な収入減の場合のみ有効な策で、収入の回復が将来的に見込めない場合は効果がありません。また、銀行・金融機関に応じてもらえない可能性があります。とはいえ、まずは住宅ローンを組んでいる銀行・金融機関に相談をしましょう。
他の銀行で借り換えの検討
借り換えは、今借りている住宅ローンを、他の銀行で金利や諸条件の良い住宅ローンに乗り換えることです。
当然、申込先の金融機関の審査がありますので、あなたの債務状況・収入状況などの資料を提出しなければいけません。自宅購入時と比べて収入が減少していたり、家計の支出(車・リフォーム・学費など)が増えていたり返済能力が下がっている場合は審査に影響してしまいますが、そうでなければ大きな効果が期待できます。
現在の住宅ローンの金利は非常に低い設定で推移しています。以前にはあまりなかったネット銀行なんかも利用できる環境です。メリットとしては、利息が減ることで返済総額の減額が見込め、毎月の返済額を抑えることができます。
また、団体信用生命保険の見直しができます。以前は、死亡時・高度障害時の団信がほとんどでした。しかし現在の団信はプラスして、7大疾病、8大疾病保障付きと保障が手厚くなったものも出てきています。団信を見直すことで、病気などで返済が困難となった時の備えができます。ただし、健康状態によっては加入ができない場合もあるので注意が必要です。
借り換えをする際には、諸費用(保証料・手数料など)がかかりますので、返済額の軽減メリットから諸費用を差し引いてでもメリットが出るように組み立てるのが大事です。インターネットで借り換えシミュレーションが簡単にできますので、住宅ローンの返済予定表を手元に置いて試してみましょう。
住宅ローンの滞納後
自宅を残して債務を減らせる個人再生
個人再生は、債務整理のひとつで、裁判所を通じて住宅ローン以外の債務を圧縮する方法です。
裁判所に再生計画を提出し認められた場合、債務は総額の1/5または100万円のいずれか多い方まで減額されます。下の表にまとめてみましたが、例えば、借金が200万円でも500万円でも最低弁済額は100万円です。90万円の借金がある人には効果がありません。600万円の借金がある人が個人再生の手続きをすることで借金額は120万円まで減額できます。そして、減額された債務は原則3年(特例で5年)で完済させなければいけません。
≪適用条件≫
*将来的に継続した収入があり具体的に返済計画がある。
*借金の総額が5,000万円以下(住宅ローンは含まない)
また、個人再生には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という、自宅・マイホームは債務者(あなた)の生活の基盤となり、経済的再生を図れるようにする制度があります。裁判所に、住宅ローン特則を盛り込んだ再生計画が認可された場合、個人再生の申立てが代位弁済から6ヶ月以内であれば、巻き戻し制度により、代位弁済がされる前の状態に戻せ、競売にかけられることはなくなります。住宅ローン以外の債務を圧縮し、自宅・マイホームは手放さず、住宅ローンは継続して支払い住み続けることが可能になります。
ただし、手続きなどが複雑で手間もかかりますので、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するのが良いですね。
任意売却
任意売却は、住宅ローンの返済を滞納し支払いきれない人が、競売を避けるために債権者(保証会社・金融機関)の同意を得て自宅を市場で売却することを目指すものです。
債権者は代位弁済した債権回収のために競売の申立てをします。しかし、競売物件は落札者にとって内覧ができなかったり、契約不適合契約が免責だったりと、リスクのある取引きになるため、おおよそ市場価格の5~6割程度で落札されます。一方、任意売却では一般市場に近い価格で売却ができるため、債権者も競売と比べて高値で売却できれば回収が多くできると判断した場合は同意してくれます。住宅金融支援機構は返済継続が困難になった人に対して、そのような理由で、任意売却をお勧めしています。
競売にしろ、任意売却にしろ、売却代金で住宅ローンの返済をするのですが、ほとんどの場合が「売却金額<住宅ローン残債」のオーバーローン状態ですので、返済をしても残債は残ります。高値で売却ができれば残債は少なくなりますので、任意売却は、債権者にもあなたにもメリットがあるのです。
≪メリット≫
*任意売却後の残債については、債権者とその後の返済計画を話し合いができ、無理ない金額(5,000円~数万円)で分割返済ができます。
*債務者が支払うべき不動産売却時の諸経費(手数料・登記費用・引越し費用など)が売却代金から経費として控除して持ち出しにならないように債権者との交渉ができます。
*競売では、公告がされると裁判所は競売参加者を募るために物件の所有者(あなた)や債権者の氏名、所在地、不動産の評価や差押え、諸権利関係や使用状況、建物外観や屋内の写真なども一般公開し不特定多数の人に見られてしまいます。任意売却では、一般売買と同じように取引きされるためご近所には何事もなかった様に解決ができます。
ご自宅を手放すことにはなりますが、生活を再スタートさせる上で、競売と比べて金銭的にも精神的にも負担が少なくできる解決方法です。
自己破産
自己破産は、債務整理のひとつで、裁判所に破産手続きを提出し借金の返済義務を免責にする方法です。税金を除く全ての借金をゼロにするという手続きです。
住宅ローンを滞納されている人の中には、初めから自己破産をしたいと相談される人もいます。しかし、自宅を所有したまま自己破産をしてしまうと余計な費用がかかってしまいます。
破産手続きの目的は、破産者の財産を換価処分して債権者に分配することです。そもそも換価処分するべき財産がない場合は、破産管財人を選出して手続きを進めていくというのも無意味となってしまうので、その場合は、破産手続開始決定と同時に、破産手続廃止決定がなされる「同時廃止」と、破産者の財産を調査・管理・換価処分して、債権者に分配する手続きが必要な破産管財人を選出する破産手続きの「管財事件」2種類の手続きがあります。ですので、住宅ローンの返済が困難な人がどうしても借金の返済義務を免責にしてほしいと相談された場合は、任意売却をして資産をなくしてから自己破産をした方が経済的なメリットは大きくなりますとご提案します。
また、任意売却後の残債が思いのほか多く残ってしまった場合に、自己破産も選択肢として考えることもあります。
ただし、自己破産をするデメリットも考えておかないといけません。
≪デメリット≫
*破産開始決定から免責許可が確定し復権するまでの期間は、人の財産にかかわる資格を使用した仕事ができなくなる職業・資格の制限があります。
*自己破産の効果はあくまでも破産者本人に限られますので、連帯保証人がいる場合は債務の返済義務が移ってしまいます。もし、配偶者などが連帯保証人になっている場合は、同じく自己破産をするようになります。
ブラックリストに登録されるなど他にもデメリットはあります。自己破産は、ほとんどすべての財産を失うことにはなりますが、必要最低限の財産(99万円以下の現金、20万円以下の個別財産、差押え禁止財産)を残すことも保障されています。様々な策を検討した上で最終手段として選択する際は、司法書士や弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
まとめ
住宅ローンを滞納しそうな人へということで、滞納してしまうと競売になる流れと、滞納前と滞納後の解決方法の代表例を書いてみました。弊社『住宅ローン返済110番』はこのような緊急事態時に気軽に相談できる窓口として存在しています。
見てきたように、相談できる先としては、「銀行・金融機関」「司法書士・弁護士」「不動産会社」とありますが、「銀行・金融機関」はリスケ・借り換え、「司法書士・弁護士」は個人再生・自己破産などの債務整理、「不動産会社」は任意売却と、それぞれ専門分野によって解決方法が決まっています。これでは、あなたの希望に沿った解決方法の総括的な相談ができないと思います。これらの相談を総括的にご案内するのが私たちの役割です。
私たちは、住宅ローンでのお悩み、不動産の調査や査定、任意売却、債務整理のご相談を得意としております。必要であれば提携している司法書士・弁護士との連携を取り最適なアドバイス・解決策をご提案いたします。お気軽にご相談ください。明るく笑顔でご対応いたします。