「住宅ローン特則」について
- 2020.06.16
- 住宅ローン
住宅ローンの支払いが困難になってきて、ネットで色々調べると難しい用語がたくさん出てきます。
今回はその中でも「住宅ローン特則」というものをピックアップしてご説明していきます。
住宅ローン特則の内容
住宅ローンの支払いが困難になり、「個人再生」の手続きをする方が利用できる仕組みで正式には「住宅資金貸付債権に関する特則」といわれるもので、「住宅資金特別条項」とも呼ばれています。債務整理の方法はいくつかありますが、自己破産では、住宅ローンやその他の借金の支払い義務はなくなりますが、自宅も処分しなければなりません。また、任意整理という方法もありますが、住宅ローンですと最大限に返済期間を設定しているケースが多いため、住宅ローン自体をリスケすることは難しいです。
そこで個人再生では、自宅・マイホームは債務者の生活の基盤となり、経済的再生を図れるようにするため「住宅ローン特則」という制度を設け、自宅・マイホームを手放さずに残すことができるようにしています。しかも、住宅ローン以外の借金については、総額の1/5または100万円のいずれか多い方まで減額され、3年(特例で5年)の分割払いが認められるので、全体的な債務整理にもなるのです。
自宅を残して、住宅ローン以外の借金を整理したいという人には非常に有効な制度です。
住宅ローン特則の適用要件
個人再生の手続きで「住宅ローン特則」を利用する場合に、適用要件がありますのでそれらをすべて満たす必要があります。それが以下のとおりです。
債務者が満たすべき要件
- 債務者が法人でなく、個人であること
- 債務者が自分の居住用の住宅を所有していること
住宅に関する要件
- 建物床面積の半分以上が自分の居住用で、住宅に住宅ローンの債権者または保証会社の抵当権のみが設定されていること
- 住宅以外の不動産にも住宅ローンの抵当権が設定されている場合には、その抵当権よりも優先順位の低い抵当権などが設定されていないこと
住宅ローンに関する要件
- 住宅の新築、購入、リフォームに必要な資金であること。借り換えでもよい
- 分割払いの定めがあること(一括払いは不可)
再生手続きに関する要件
- 保証会社が住宅ローンを代位弁済した場合は、代位弁済後6ヶ月以内に再生手続開始の申立てを行うこと
「住宅ローン特則」を利用する場合、個人再生の要件に加えてこれらの適用要件も満たす必要があります。
住宅ローン特則の種類
個人再生において「住宅ローン特則」を利用するためには、再生計画に「住宅ローン特則」の内容を定め、裁判所に認可してもらう必要があります。定めることのできる内容は次の5種類です。
そのまま
当初の約定に変更を加えず、約定通りに返済を継続していくというものです。ただし、個人再生認可までの間に住宅ローンの滞納がない場合でなければ選択できません。
期限の利益回復
すでに滞納している部分と約定の債務を再生計画で定めた期間内に返済することで、滞納したことによって生じていた期限の利益喪失を失わせるものです。要は、滞納した部分を支払うことで解消し、約定通りの弁済継続を支払うことによって、一括払いになった住宅ローンを再び分割払いに戻すことができます。期間は、3年(特例で5年)間での支払いになります。この3年(特例で5年)間は、約定の住宅ローンと、滞納していた分の支払いの両方を支払わなければならないということを注意してください。
支払期限延長
期限の利益回復では、再生計画に基づき3年(特例で5年)間、約定の住宅ローンと、滞納していた分の支払いの両方を支払わなければなりません。そして、大幅に減額されるとはいえ、住宅ローン以外の借金も返済しなければなりません。そうした場合、月々の返済額が大きな額になってしまうため、支払いができないという方が相当数いらっしゃいます。そこで、利息と遅延損害金を含めた住宅ローンの全額を弁済することを条件として、」住宅ローンの支払いを最長10年間延長し毎月の返済額を減額することができるというものです。ただし、70歳までに完済させなければならないところが注意点です。
元本据え置き
「支払期限延長」でも、支払いが厳しいという人もいます。その場合、再生計画期間内において元本の一部、および利息のみを支払うというものです。「元本据え置き」をしてもらえる期間は、3年(特例で5年)間に限定されていますので注意してください。
合意
債権者の合意がある場合に,これまでの上記4つとも異なる条項を定めることができるというものです。例えば、支払い期限の延長を10年以上にすることや、ボーナス併用払いの取りやめなどです。
まとめ
住宅ローンの支払いが困難になった場合でも、個人再生手続きの「住宅ローン特則」を利用することで、自宅・マイホームを手放さず、住宅ローン以外の借金を整理することができます。ただし、適用要件や再生計画内容が分かりづらいかと思いますので、詳しくは専門家に相談のうえ最善の解決方法を考えましょう。
私たちは、住宅ローン返済の相談窓口として、住宅ローン返済でのお悩み、不動産調査・査定、任意売却、債務整理のご相談を得意としています。あなたの状況に応じた最適な解決方法をご提案いたします。不安なこと、お悩み、疑問などどんなことでも、お気軽にご相談ください。