夫婦で返済の住宅ローンが破綻の原因になる⁉
- 2020.06.19
- 住宅ローン
住宅・マイホーム購入をした際に、ペアローンや夫婦連帯債務型といわれるご夫婦で住宅ローンを組む方法で購入した人もいらっしゃると思いますが、メリットがある一方で、大きなデメリットもあるということをご存じでしょうか。
解決法もあるので分かりやすく説明していきます。
ペアローン・夫婦連帯債務型の基本解説
ペアローン
ペアローンの一番のメリットは、どちらか一方の住宅ローンだけでは手に入れることができなかった物件を、もう一方が住宅ローンを組むことで、購入できるようになることです。
例えば、夫の収入では3,000万円の物件が限度でしたが、プラスして妻が1,000万円の住宅ローンを組むことで4,000万円の物件に手が届き購入することができるということです。
この場合、夫は3,000万円、妻は1,000万円の、合わせて2本の住宅ローンを組んでおり、夫は妻の、妻は夫のそれぞれが連帯保証人になるのが一般的です。住宅ローンが2本になりますので、事務手数料や印紙代などの費用も二重にかかります。団信についても個別で加入し、保証の範囲も個別になります。また、住宅ローン減税についてもそれぞれのローン残高をもとに減税されます。
夫婦連帯債務型
一方、夫婦でのマイホーム購入というと、夫婦の収入を合算して2人でひとつの住宅ローンを借りる夫婦連帯債務型のローンもあります。例えば、4,000万円の物件の主債務者が夫、連帯債務者が妻という住宅ローンの組み方です。
この場合、借入れ全額に対して夫婦が同じく返済義務を負うことになります。団信については、基本的には主債務者が亡くなった時にはローン残高がゼロになりますが、連帯債務者が亡くなった場合は保険適用されません。ただし、金融機関によって夫婦連帯団信というものに加入できれば残高はゼロになります。
また、住宅ローン減税については、住宅の持ち分割合に応じて受けられるようになります。例えば、4,000万円のうち、夫が3,000万円の返済負担、妻が残りの1,000万円の返済負担とする場合、住宅の持ち分割合が夫3/4、妻1/4というように減税が受けられます。
メリット
ペアローン
- 一人だけでは手に届かなかった物件が購入できる。
- 住宅ローン控除を夫婦それぞれで受けることができる。
夫婦連帯債務型
- 収入合算して、借入額を増やすことができる。
- 契約が1本なので、諸費用の負担が抑えられる。
- 持ち分に応じて、夫婦それぞれで住宅ローン控除が受けられる。
デメリット
ペアローン
- 契約が2本なので、事務手数料や印紙代などの諸費用がかさむ。
- どちらかが退職してしまってもローン返済は変わらず、所得がなくなるので住宅ローン控除が受けられなくなる。
夫婦連帯債務型
- 取り扱っている金融機関が少ない(フラット35、もしくは一部の金融機関)
- 基本的に連帯債務者は、団信に加入できない(フラット35の場合は夫婦連帯団信あり)
このように、ペアローン、夫婦連帯債務型の基本的なことを解説しましたが、ご夫婦で助けあう住宅ローンのどこが破綻の原因になるのか次に見ていきます。
経済危機
今般の新型コロナ感染拡大のような経済危機は、おおよそ10年周期で何かしら起きています。バブル崩壊から、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナ感染拡大と、今後もどのような形かは分かりませんが、住宅ローンをかかえている35年間の内には何かしらの経済危機は起こるものだと考えておかなければいけません。
今回の新型コロナ感染拡大の影響を受けて、ペアローンや夫婦連帯債務型の住宅ローンを利用している人で苦しんでいる人は多いのではないでしょうか。ニュースでも企業の業績が落ちて収入減やボーナスカットの話題で溢れています。世帯収入が減少した状況で、どちらかひとりだけのローンであれば、もう一人の収入で緊急時に補填して助けることができますが、お互いが返済義務を負っている状況では厳しくなってしまいます。
離婚問題
ペアローン、夫婦連帯債務型ともに離婚するからといって返済義務がなくなるわけではありません。例えば、離婚をきっかけにどちらかが家を出ていき住まなくなったとしても、住宅ローンの約定通り返済し続けなければなりません。
また、住宅ローンを組む前提として、対象となる家に住むことが条件となっているので、出ていった人は金融機関から一括返済を求められる可能性すらあります。
離婚の住宅ローン問題解決方法
住宅を売却してローン残債を一括返済
離婚時には住宅や車などの共有財産を現金化して夫婦で分割するのが一般的です。売却して一括返済できれば問題ありませんが、「売却金額<住宅ローン残債」のオーバーローン状態ですと金融機関は売却を認めてくれません。預貯金や新たな借入れ、住み替えローンで雅差額を埋める必要があります。
また、そのような状態であれば、金融機関に事情を説明し、同意のもと任意売却という手段で売却するという方法もあります。
他の金融機関で借り換えの検討
住宅ローン返済中の名義変更や保証人の変更は簡単ではありません。金融機関としては借金の名義人や保証人がいなくなるわけですから、なかなか承諾してはくれません。代わりになる人(旦那さんの親・兄弟など一定収入のあるひと)を付けるよう要求されることが多いですが、なかなか難しいですよね。
どちらか住宅に住み続ける方が定職に就いている状態であれば、他の銀行で連帯保証人なしの住宅ローンに借換えをしてもらうという方法があります。もともと2人で組んだローンを1人で組み直しますので、ハードルは高いですが上手くいけば解決できます。
まとめ
このようにペアローンや夫婦連帯債務型の住宅ローンは一人では手の届かなかった物件を購入できるメリットがある一方で、住宅ローンを組んでいる長期間には何が起こるか分かりません。万が一のことを想定して、できる事なら住宅ローンの一本化を今のうちに検討してみてはいかがでしょうか。