競売になるパターン
- 2020.06.20
- 競売
競売とは、一般的に住宅ローンを支払われなくなると、抵当権を設定している債権者(金融機関)から債務者(あなた)に「支払い請求書」や「催告書」が届きます。それでも支払いに応じなければ住宅ローン延滞3ヶ月目を目処に債権者(金融機関)から債務者(あなた)に「期限の利益喪失通知」が届きます。住宅ローンの滞納を続けてしまうと、契約を破ることとなり、月々分割で支払う権利を失ってしまいます。一括返済するしかなくなります。
そうなると当然支払えませんので、保証会社が債務者に代わり債権者に「代位弁済」します。これ以後、保証会社が債権者となり債務者に住宅ローンの残額、滞納時の遅延損害金なども含めて一括返済がされない場合、そのまま競売の手続きが進められます。
債権者(保証会社)は民事執行法に基づき、債権回収のために裁判所に対して申立てをし、裁判所はその不動産を強制的に売却する手続きが競売です。
どんな時に競売になるか
住宅ローンの返済ができなくなった時
上での説明でも書きましたが、住宅ローンは毎月分割して返済することを前提として35年間の返済期間を組みます。滞ることなく通常返済していれば何の問題もありません。1・2回の滞納だけでもそこまで大きな問題にもなりません。ただし、3回目の滞納を目処に競売の手続きを始める金融機関がほとんどです。
カードローンや消費者金融の借金の返済ができなくなった時
競売の申立ては、住宅ローン滞納だけではありません。不動産を担保にしている事業資金はもちろん、無担保の借金でも返済が滞れば、家や給料を差押えられ競売を申立てられる可能性があります。返済ができないのであれば、強制的に資産を売却して回収するのです。
マンションの管理費を滞納した時
住宅ローンの返済はしているが、マンションの管理費や修繕積立金の滞納が続いているという場合、管理費や積立金の滞納はマンション運営に影響をきたす問題があり、同じマンション内の住人とも公平性が保てなくなるため、マンション管理組合が競売を申立てます。
税金を滞納した時
固定資産税などの税金の滞納が続いた場合、市役所・区役所や国が「公売」の手続きをします。競売は債権者の申立てにより裁判所がおこないますが、公売は国税局や各自治体が自オークションに出します。期間入札やインターネット公売があります。借金は債務整理することによる支払い減額や免責ができますが、税金のような公租公課の滞納はゼロにすることができませんので注意してください。
競売を回避する方法
一度、競売を申立てられると債権者に取下げをしてもらえることは簡単ではありません。競売を申立てた債権者に「取下書」を裁判所に提出してもらわなければなりません。競売を回避する方法としては、滞納分の一括返済か、債権者の同意を得て任意売却のどちらかしかありません。
ただし、一括返済ができるのであれば競売にはなっていないと思いますので、現実的には厳しいと思います。そのためほとんどの人が任意売却を選択します。
そして、多くの債権者も、競売よりも任意売却の方が債権回収額を多く見込めるというメリットを知っているため、同意してもらえる傾向にあります。
ただしこの場合、競売手続きは継続したまま並行して任意売却をおこなうことになります。任意売却を成立させ決済し、約束された金額が債権者に支払えたことが確認されるまでは「取下書」を提出してくれません。それを開札日の前日までに完了させなければなりませんので、販売活動の期間としてはなかなかタイトなものになります。
任意売却のメリット
売却価格で比較すると、競売では、契約不適合責任が免責なうえ、裁判所の執行官以外は物件の中に入ることができず、内覧ができない買い手のリスクが多い売買になるため落札価格はどうしても市場価格のおおよそ5~6割程度です。任意売却では、契約不適合責任は免責になりますが、内覧とホームインスペクション(住宅診断)で補うことができます。市場価格同等というわけにはいきませんが、近い価格での売却が可能です。
また、競売は、債権者と裁判所とで手続きが進められると、債務者の入る余地がありません。競売開始決定通知が出ると、裁判所の執行官が建物内に入ってきて、内外の写真撮影、室内状況確認をします。競売公告がされると、競売物件情報、債務者情報が公開されます。そして日取りが決まると、落札者を募るために一般公開し不動産競売情報サイトにも掲載され不特定多数の人が見られるようになります。最後に落札者が決定し代金が納付され引渡し日が決まるとそれまでに立ち退かなければいけません。引越し代がないなどの事情があっても、強制退去させられてしまいます。
一方、任意売却は、競売開始決定通知が出されてしまうと同じ流れですが、裏では債権者との交渉などはありますが、表向きは通常売買と同様に扱われるためご近所には何事もなかったかのように解決ができます。また、引越し費用については債権者との話し合いで売却代金の中から控除してもらえる可能性もあります。最後に、債権者との話し合いの中で債務者の意思を聞いてもらえることが大きな特徴です。
任意売却は、競売と比べて金銭的にも精神的にも大きなメリットがあります。
まとめ
住宅ローンだけではなく、カードローン・管理費・税金の滞納でも競売になることがお分かりいただけましたでしょうか。競売になる前に解決しておくことが理想ですが、万が一競売になっても任意売却という手段がありますのでご安心ください。ただひとつ言えることは、困ったときに放置しないことです。滞納しそうかな、返せそうにないなという段階で早めに行動することが大事です。その段階ですと、解決策の選択肢は広がるはずです。
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