住宅ローンの金利交渉について
- 2020.06.26
- 住宅ローン
毎月の家計の支出で一番大きな割合を占めるのが住宅ローンの返済だと思います。およそ全体の20~30%くらいになっている方が多いのではないでしょうか。世帯収入が減少すると、どこか詰められるところはないか探しますが、普段から切り詰めた生活をしているとなかなか見つかりません。しかし、固定費の20~30%を占める住宅ローンの返済が少しでも詰められると成果は大きいと思います。その方法が「金利交渉」です。
金利交渉は、今住宅ローンを組んでいる金融機関とする方法です。住宅ローンを組んでいて、毎月の返済額を抑えたい、良い条件で借り換えをしたいけど借り換えは手続きが面倒だし、費用もかかるからしたくないという人にはぴったりな方法です。私の付き合いのある銀行マンとの話で「なるほど!」と思ったことをまとめて書いていきますので参考にしてください。
「借り換えを検討している」というワード
金融機関へ連絡し、ただ単に「金利を下げてほしい」と伝えるだけではなく「借り換えを検討している」というワードを入れることで、融資担当者は真剣に話を聞くことになります。なぜかというと、金融機関としては借り換えをされるよりも、金利を下げてでも取引を継続してもらえた方が良いからです。それは金融機関内の評価項目が関係してきます。
融資実績、預金・貸金残高、金融商品の3項目が評価項目となります。他の金融機関に借り換えをされてしまうと、預金・貸金残高の評価が減ってしまいます。ですので、「借り換えを検討している」というワードは効果的に働きます。
金利交渉のメリット
どれくらいのメリットがあるのかというと、今借りている金融機関で金利交渉ができれば、借り換えに係る費用がかかってきませんので手続き費用の数十万円が節約できます。借りている金融機関で金利を下げる方が圧倒的にコストが低いです。金利変更だけですので条件変更手数料と印紙代しかかかりません。
また、金銭的な節約以外にも、借り換えを進めるにあたっての金融機関とのやり取りや、書類の準備などに非常に労力がかかるのでその辺の手間がないのもメリットだと言えます。
具体的な進め方
タイミングは9月と3月が良いです。金融機関は9月が中間決算、3月が本決算のため、金融機関も融資実績が欲しいのと貸金残高を減らしたくないからです。
金融機関はこの9月や3月は非常に忙しいです。少しでも目標に対して融資実績を積み上げたいと考えています。そんな時に個人の顧客から借り換えの話がくると煙たがられますが、上でも書きましたが金融機関の評価項目は融資実績、預金・貸金残高、金融商品の3項目です。期末にカツカツで数字を作っているときに借り換えをされてしまうと金融機関としては困ってしまいます。ですので、通常月であれば現状の数字を維持しつつ取引を継続してもらえる対応を考えるのですが、9月や3月のような繁忙期にはそこに時間はかけられないので素直に金利引き下げに応じることが多いようです。
また、銀行にもよりますが、借り換えを引き留めるために提示していい金利があるのでその範囲内であればスムーズな交渉ができるようです。
そして金利交渉のポイントは、誠意をもって伝えることが大事です。金利交渉は「金利を下げなければ借り換えをするぞ!」と脅しているようなものなので、相手からすると少し心象が悪いです。相手の融資担当者も人間ですので悪い印象を持たれてしまうと良い対応をしてもらい辛くなります。ですので、誠意のある伝え方をすることが大事です。
例えば「先日、○○銀行さんから借り換えの提案を頂き、良い条件なので悩んでいるのですが、私としては御行と長く付き合っていきたいと思っています。○○銀行の事前審査では〇%の金利を提示されているので、それに近い金利まで下げてもらう事はできますか?」という伝え方が良いと思います。
そうすると金融機関の融資担当者は、この繁忙期に…でもまだ決定していないみたいだし、話した雰囲気も良い人そうだし、ちゃんと対応すれば借り換えは止めれそうだなと思っています。
ポイントは3つあります。➀他行から借り換えの提案があり事前審査がおりて金利が提示されていること➁借り換えをすることがまだ決まっていないこと➂気持ちとしては現在の金融機関で取引きを継続したいことで、金融機関の融資担当者に金利を下げればこの人は借り換えを止めてくれそうだなと思わすことが大事です。
注意点
過去に延滞歴がある人
ローン返済・税金・携帯料金・リボ払い・カードローンなどで延滞したことのある人は、金利引き下げに応じて貰えないことが多いです。こういう返済懸念のある人が「借り換えの検討をしているんですけど」と言っても、「どうぞ」と言われてしまいます。
他行の事前審査を行っておく
金利交渉で嘘をつくことはいけません。銀行によっては、本当に審査が下りているのか、ふっかけてきてるんじゃないかと疑われることもありますので、借り換え先からの提案書を求められることがあります。ですので、金利の低い金融機関に事前審査を出して、なるべく条件の良い審査結果を持った状態で金利交渉に臨むことが大切です。
契約時より良い属性になっていないと難しい
勤続年数・年収・資産状況など契約時より下げっている場合は難しいです。当時より年収が下がっている、転職したばっかりで勤続年数が短いという場合は良い条件を引っ張り出すことは厳しいかもしれません。
複数回はできない
金融機関には過去の取引履歴は全部残っています。何度も常習的に金利交渉をすることで金融機関からの信用も落としてしまい、断られる可能性が高いです。金利交渉は1回までと考えるところが多いです。
ネット銀行では難しい
店舗を持つ都市銀行・地方銀行・信用金庫などでは有効ですが、電話や対面での交渉ができなかったり、元々の金利が最安レベルで下げ幅がないネット銀行では難しいです。
まとめ
住宅ローンの返済が困難となった場合にやってはいけないことは滞納することです。滞納を続けてしまうとその後の生活に支障をきたすことが待ち受けています。ですので、その前に出来る対策をとっておくことが大事です。
金融機関との金利交渉や借り換え、リスケジュールで困難が解消できれば良いですが、それでも困難が解消できなかった場合は、債務整理や任意売却の必要があるかもしれません。住宅ローン全般の相談窓口として様々な情報を発信しておりますので、お悩みの際にはお気軽にお問い合わせください。