任意売却して住み続けられるリースバックと買戻し
- 2020.07.31
- 任意売却
住宅ローンの返済が行き詰まりマイホームの売却をすることを決断したいけれど、子どもを今のまま学校に通わせたい、高齢に両親に住み慣れた自宅に住まわしてあげたいなどと、できる事なら住み続けたいと考える人も多いのではないでしょうか。
そこで、リースバックという方法があります。簡単にいうと、住宅ローンを支払って住んでいるマイホームを、投資家や不動産会社などの第三者に売却し、その第三者と賃貸借契約を締結し賃貸物件として住み続けられるという方法です。今住んでいるマイホームを一度売却して、そのまま借りて住み続けるということができます。
任意売却とリースバックの違い
最初に任意売却とリースバックとはどういうものなのかを解説します。どちらもマイホームを持っている人が生活資金や借金の返済などで困ったときに利用するシステムですが、内容は全く違うものなので注意しましょう。それぞれの特徴を説明します。
任意売却とは
マイホームが住宅ローンの抵当に入ってしまっているときには原則、売却はできません。しかし、売却した資金で住宅ローンを完済できるアンダーローン状態(売却代金>住宅ローン残債)であれば通常売却は可能です。
一方で、売却する資金で住宅ローンを完済できないオーバーローン状態(売却代金<住宅ローン残債)の場合では通常売買はできません。しかし、任意売却であればオーバーローン状態でもマイホームを売却することができます。ただし、任意売却を選択する場合、債権者(金融機関)の同意と売却を仲介する専門家の専任が必要となります。
住宅ローンを借りている金融機関と交渉した上で残債を新たな返済計画で支払う形にすることが任意売却だからです。住宅ローンの返済が困難になってしまい競売から回避するための方法であるとともに、残債の返済スケジュールや、転居費用の確保、引渡し時期の調整などについて交渉する余地を残した債務整理の方法が任意売却です。
リースバックとは
上でも少し書きましたが、リースバックは住宅ローンの返済が厳しくなってきたときに自宅を投資家や不動産会社の第三者に売却し、その買主から賃貸物件として借りることで売却後もそのままご自宅に住み続けられるという仕組みのことです。
家を買いたいという人は自分が住む家を探しているという場合もありますが、不動産投資をする物件を探しているケースも多くなりました。投資家が賃貸経営をする上で問題になるのが空室リスクの問題です。そこでリースバックであれば必ず入居者がいる状況を作れるので賃貸経営をしたい人にとってのリスクを最小限にできるのです。
そのため、このような条件を掲げてマイホーム売却をしても買い手を見つけられる可能性が十分にあるのです。マイホームの所有権は無くなりますが、現金が手に入った上に今までと同じ家に住み続けられるのがメリットと言えるでしょう。
任意売却後にリースバックで住み続けられる
任意売却は住宅ローンの残債務があるマイホームを売却する時の方法のひとつであり、リースバックはマイホームを売却しお金を手に入れながらもそのまま住み続けるための手段です。任意売却もリースバックもそれぞれ独立した制度ですが、併用することも可能です。住宅ローンの残債があるマイホームを任意売却してリースバックを選択し住み続けることも可能ということです。
任意売却の後にリースバックをするという方法で、どのようなメリットがあるのか次に見ていきましょう。
引越しの必要なし
通常、任意売却をすると今まで住んでいたマイホームから出ていき、多くの場合は新たに賃貸物件を探さなければなりません。賃貸物件に移り住む際は、物件を探す手間に加え、仲介手数料などの入居の初期費用や引越し代などで負担が生じてしまいます。
しかし、リースバックの場合は今まで住み慣れたマイホームに住み続けられるのでこのような費用負担がありません。引越しもありませんので、ご近所さんや周りにその説明をする必要もなく安心して住み続けられるのもメリットといえます。
住宅ローンの返済からの解放
これまでは金融機関に対して月々返済をしていた住宅ローンが、任意売却によるリースバックをすると月々支払う家賃になります。住宅ローンの返済に困難な人にとっては長期間返済を続けなければいけないという心理的不安や、銀行など債権者からの請求や督促から解放されます。
また、当然ですが売却して第三者に所有権が移行しますので、これまで払ってきた固定資産税、マンションの場合は管理費や修繕積立金の支払いが無くなります。
資金の目処が立ったら買戻せる
せっかく購入したマイホームを失ってしまうのは悲しいと思う人もいるでしょう。任意売却をすると他の人の手に渡ってしまうので再び自分のものになることはありません。しかしリースバックであれば買い戻すことが可能です。契約の条件として一定の条件を満たせば買戻せるということで、任意売却と併用して残債の併用も完済させ、資金の目処が立った場合に買い戻すことができます。
リースバック時の月額賃料と買戻し価格
月額賃料について
リースバック対象になる不動産のエリアや築年数にもよって変わってきますがだいたい
月額賃料=売却価格×(6~16%)÷12ヶ月で計算されます。
不動産の価値が下がりやすくリスクの高い物件と判断された場合は高め(13~16%)の設定になりますが、逆に首都圏や人気の高い物件であれば低い(6~8%)設定となります。
例)売却価格1,500万円で首都圏人気エリアの物件だとすると、
1,500万円×6%÷12ヶ月=7.5万円程度になります。
買戻し価格について
また、将来的に買い戻しを希望するときは、売却時に「再売買予約権」という権利をつけて売買契約を締結することで、買い戻しが可能になります。
その場合の買戻価格は、基本的にリースバックをしてくれる投資家や不動産会社が、購入した時の金額に諸経費分を乗せた金額になります。そうでないケースもありますがだいたい
買戻価格=売却価格×(1.1~1.3)で計算されます。
この価格は、リースバック契約時に決めておき、契約期間内であればいつでも決めた価格で買い戻すことが可能になります。ただし、契約期間内に賃料滞納などの賃貸契約の不履行があった場合は、買戻す権利がなくなると同時に賃貸契約も無効となり、自宅を引き渡さなくてはいけませんのでご注意してください。
例)上と同じように、売却金額が1,500万円だとすると
1,500万円×1.3=1,950万円程度になります。
任意売却とリースバックを併用利用するための条件
任意売却もリースバックも条件なしで出来るわけではありません。いくつかの条件を揃えないと実現しません。
債権者の同意が必要
これは大前提ですが、住宅ローンの債権者(金融機関)の同意がなければ任意売却もリースバックもできません。また、売却の同意を得られたとしても債権者の指定した売却価格で売買できなければ成立しません。
買い手が見つからないと始まりません
購入してくれる買手からすると投資物件として検討しますので、対象物件が投資物件として魅力的かどうか総合的に判断をします。都心部またはその周辺にある物件か?流通性の高い物件か?あまりにも都市部から離れた郊外にあったり、物件状態が良くないと買い手が付かない可能性があります。
毎月の家賃を安定的に支払えること
これから賃貸物件に住み続けるので、毎月家賃を支払うことのできる収入がなければ厳しいです。年金収入でも構いませんが、それを証明できるエビデンスがなければ難しいです。また、毎月の賃料の支払いが滞ると退去させられます。
任意売却とリースバックを併用する注意点
毎月の家賃が相場と比べて高くなりがち
リースバックのデメリットとしては、毎月の家賃が高くなりがちなところです。どうしても投資物件として価値を高めないと買い手が付かないので、周辺相場と比べても高い賃料設定になることが一般的です。ですので、買い戻すのに成功するまではずっと大きな負担が続くようになるのは否めません。
買戻しができないならメリットはなし
上でも書きましたが、毎月支払う家賃が高くなりがちになりますので、早い時期に買戻せなかった場合はメリットが薄くなります。何十年も経過してから買い戻したという場合には築年数の影響で家の価値が落ちてしまっています。
まとめ
任意売却とリースバックを併用すると、売却した後も引越しをせず住み慣れたマイホームにそのまま住み続けることができます。また、将来的に買戻すことも可能です。この点はメリットといえます。ただし一方で、リースバックは慎重に行わないと、任意売却の残債返済と合わせて高額な家賃を支払うことになったり、買戻しの資金を確保できなくなったり費用負担の面でデメリットの方が大きくなってしまいます。効果的に選択するために専門家に相談のうえ検討をするようにしましょう。
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