新型コロナウイルスで収入減・失業…住宅ローンはどうする?
- 2020.09.10
- 住宅ローン
信用調査会社の帝国データバンクは9月8日、新型コロナウイルス流行による業績悪化が原因で倒産した企業が全国で500件に達したと発表しました。
コロナ関連倒産は2月25日が最初で、6月が120件、7月が115件と多かったが、8月は84件と減少傾向ですが、今後もまだ増えていくとみられています。
業種別では、レストランや居酒屋などの「飲食店」が69件で最も多く、「ホテル・旅館」が53件、「アパレル小売店」が34件と、外出自粛の影響を受けた業種の倒産が目立っています。
都道府県別では、高知と島根を除く45都道府県で倒産が発生。最も多い東京は123件、大阪が54件、北海道が25件と続いています。
また、厚生労働省の調べでは、雇用調整の可能性がある事業所数は90,008事業所、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込み労働者数は52,508人となったと報告しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000668419.pdf
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」(9/4現在集計分)
そして、早期退職を募集した上場企業は52社に達し、対象者は9,323人に上るといいます。
このように、全国的に企業の倒産と合わせて、失業者も増えている状況にありますが、中には住宅ローンを抱えている人も多くいらっしゃると思います。新型コロナウイルスの影響で収入減・失業した場合に住宅ローンはどうすればよいのか対処法を解説していきます。
住宅ローンを滞納して放置しておくのは厳禁!
収入減・失業し住宅ローンの返済が厳しい状況となったとしても、滞納はしてはいけません。
万が一、滞納をしてしまうと借入先の金融機関から電話や書面で返済の催促があります。その時点でローン返済ができれば問題ありませんが、応じず滞納を数ヶ月放置し続けると、最終的には住宅ローンの一括返済を求められます。そしてあなたが一括返済できなければ保証会社に代位弁済を請求し、保証会社があなたに代わって代位弁済をします。
これで返済しなくてよくなったわけではありません。今度は、金融機関に代わって保証会社から一括返済を求められます。そして一括返済ができないようであれば、債権回収のために『競売』にかけられてしまいます。
そして、競売による落札価格は、一般的に市場相場の5~6割程度といわれています。そのため、たとえ競売で落札されたとしても、その代金で住宅ローンを完済することができず、多額の残債が発生してしまいます。
収入が減った状態、ない状態で、住宅ローンの残債を返済するのは厳しいと思われます。競売での残債については一括返済を求められることが多く、分割返済ができたとしても、あまりにも多額な残債がある場合は『自己破産』を選択するようになる可能性もあります。
ですので、住宅ローンの返済が厳しい状況でも、何もせず放置してしまうと競売にかけられ、マイホームから追い出され、最終的には自己破産するというリスクが高くなります。
滞納前に銀行・金融機関へ相談
住宅ローンの返済が厳しいと感じ始めた段階で、返済滞納する前の段階で、住宅ローンの契約をしている銀行・金融機関へ相談しましょう。
放置して滞納をしてしまってから相談に行くと、取り合ってもらえない可能性がありますので必ず返済滞納前の段階で相談しましょう。
銀行・金融機関へ相談することによって、返済期間の延長・一時的な返済猶予のリスケジュールという返済条件の見直しをしてもらえる場合があります。
これまでと比べてどれくらい収入が減ったか、それがいつまで続きそうかなどを踏まえてどのような条件変更をすれば将来にわたり返済継続ができるかを相談に応じてもらえます。
また、住宅金融支援機構のフラット35では、いくつか条件を満たせば、最長15年の返済期間延長、最長3年間の元金据置き、据置き期間中の金利引き下げができる場合があります。
ただし、これらのリスケジュールは一定期間のみの救済措置ですので、将来的には収入の立て直しができる、回復見込みがある人には有効ですが、そうでなければ、延長や猶予された分は免除されたわけではなく、後ろ倒しされただけに過ぎませんので、その分の総返済額は増えてしまいますのであまり効果はありません。
いずれにしても、滞納をしてしまう前に、出来るだけ早めに借入先の銀行・金融機関に相談することが大事です。
国や地方自治体の支援策を確認する
そして、新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった方のために、状況に応じて受けられる給付金や貸付金の実施中のものが内閣官房のホームページで確認することができます。
もう既に給付を受けていたり、利用されている方も多いと思いますが、『特別定額給付金』『子育て世帯への臨時特別給付金』『ひとり親世帯への臨時特別給付金』『緊急小口資金・総合支援資金』『持続化給付金』『国民健康保険の減免』『納税猶予、公共料金の支払い猶予』など、8月25日時点での一覧ですが添付しておきますので、まだ受けていない方は参考にして、自身に当てはまるものがあれば各窓口までお問い合わせください。
また、住まわれている地方自治体の支援策も併せて確認してください。
https://corona.go.jp/action/pdf/shiensakugoannai_20200825.pdf
内閣官房HP「新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内」
どうしても住宅ローン返済が厳しい場合の対処法
銀行・金融機関に相談しリスケジュールに応じて貰い、家計の収支を改善してもどうしても住宅ローンの返済が厳しい時には、マイホームを手放すという決断もしなければならないこともあります。マイホームを手放して家賃の安い賃貸物件に引越しをして生活再建を検討しなければならないということです。
その場合は、マイホームの「売却価格」と「住宅ローン残債」のバランスによっては一般売買ができないことがあります。
例えば、「売却価格>住宅ローン残債」のアンダーローン状態ですとローンの完済ができるので問題ありませんが、「売却価格<住宅ローン残債」のオーバーローン状態の場合は、債権者の抵当権抹消の合意が得られないので売却を認めてもらえません。
その場合は、債権者である金融機関の合意を得て任意売却をすることをお勧めします。
任意売却
任意売却は、住宅ローンの返済が厳しくなった時に、競売を回避する方法です。
競売は、金融機関や保証会社と裁判所との間で、強制的に手続きが進められ、債務者の意思や意見など、生活再建に向けての組み立ての話ができる余地がほとんどありません。そして落札代金が安価になるので債務も多く残ってしまいます。
一方、任意売却は、売却後の債務は残ってしまいますが、それ以外は通常の不動産売却とほぼ同じで、相場に近い金額で取引きされます。よって、売却後の債務も競売と比べると少なくなることがほとんどです。また、売却にかかる諸経費は売却代金から控除することが認められますので、持ち出しが無かったり、引越し代を確保してもらったり、残った債務の返済方法を話し合いができたりと、競売と比べて金銭的、精神的な負担が少ないといえます。
ですので、返済が厳しくなった時や今後の返済が困難になりそうと不安を感じた時は、任意売却を検討しましょう。
リースバック
リースバックは、マイホームを投資家や不動産会社などの第三者に購入してもらい、購入した第三者と賃貸借契約を結ぶことで、賃貸物件としてマイホームに住み続ける方法です。
親や子ども、親族間に購入してもらえる調整ができなかった場合の選択肢として検討してみるのも良いと思います。
大前提として、債権者の同意がなければできません。
リースバックのメリットとしては、引越しをすることなく長年住み慣れたマイホームに住み続けることができる、そして将来的に収入状況が回復すれば買い戻すこともできるという点ですが、当然デメリットもあります。
デメリットとしては、どうしても第三者は投資物件として購入しますので、売却価格が低くなり、毎月の家賃が逆に高くなるということです。そして、買い戻す価格については、売却価格よりも高くなるケースが多いです。
ですから、長期間にわたり相場よりも高い家賃を支払い続けなければいけませんので、買い戻す計画がないのであれば、別の方法を検討しましょう。
個人再生の住宅ローン特則を利用する
個人再生は、債務整理の方法のひとつで、住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらい、その分を原則3年、最大5年で計画的に返済していく制度です。
マイホームは債権者の生活の基盤となり経済的再生がはかれるようにするために必要という観点から、「住宅ローン特則」という制度を設けています。
- 住宅の新築・リフォームに必要な資金であること
- 不動産に住宅ローン以外の抵当権が付いてないこと
- 債務者本人が所有していること
- 債務者本人が居住用の住宅であること
- 代位弁済後、6ヶ月を経過していないこと
というようないくつか適用要件がありますが、住宅ローン以外の借入れが圧縮できればなんとかできそうだという方は、個人再生の住宅ローン特則の利用をお勧めします。マイホームを手放さず手続きができる可能性があります。
まとめ
新型コロナウイルスによる収入減や失業は、他人事ではなく誰にでも起こり得ることとなっています。
住宅ローンの返済に厳しくなってきたときに一番やってはいけないことは、現実から目を逸らし放置してしまうことです。解決への選択肢がなくなってしまい、最終的に競売となり自己破産というルートを辿ってしまうことになってしまいます。
出来るだけ早い段階で専門家に相談し、上記の方法を検討して最悪の結末を回避するようにしましょう。
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