固定資産税などの税金を滞納するとどうなる?
- 2020.09.22
- その他
住宅ローンの滞納してしまう方が、固定資産税などの税金も滞納してしまっていることはよくあることです。
住宅ローンを優先して、税金を後回しにしている方がいらっしゃいますが、万が一の場合、住宅ローンは債務整理という方法がありますが、税金や公租公課には免責がありませんので気を付けなければいけません。
まず、公租公課ですが、税金や町内会費など、公共的な目的のために支払う費用のことで「租税公課」ともいいます。
「租税」は、国や地方自治体に納める税金のことです。
「公課」は、公共的な目的を持つ団体などに支払う組合費や会費、負担金などをいい、健康保険や年金、社会保険料などのことをいいます。
そしてこれらを総じて「公租公課」と呼んでいます。
今回は、税金や公租公課を滞納してしまうとどうなってしまうのかを解説します。
税金を滞納すると
延滞金が加算される
固定資産税などの税金を滞納してしまうと、納付期限の翌日から納付日までの日数に応じて延滞金が加算されてしまいます。滞納した日数が1ヶ月を超えるか超えないかで税率が変わりますので注意が必要です。
延滞金は原則として、納付期限の翌日から1ヶ月を経過する日までは「年7.3%」、1ヶ月を経過した日以降は「年14.6%」となります。
ただし、延滞税の緩和があり、平成26年1月1日以降の税金については、納付期限の翌日から1ヶ月を経過する日までは「年7.3%」と「特例基準割合+1%」の低い方、1ヶ月を経過した日以降は「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」の低い方とされています。
特例基準割合は、各年の前年の租税特別措置法の規定により財務大臣が公示した割合に年1%の割合を加算した割合をいい、令和2年の特別基準割合は年1.6%です。
ですから、この延滞金がかさんでしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。税金を滞納した場合は先ほど説明したとおり、非常に高い利率の延滞金が加算されてしまいます。
固定資産税の1期分(3ヶ月分)くらいの滞納であればまだ大したことにはならないかもしれませんが、仮に1年分を滞納してしまった場合はとても苦しくなると思います。もともとの税金の支払いが厳しいほど生活に行き詰っている方が、さらに延滞金を加算されてしまうと誰でも厳しくなることは分かりますよね。
マイホームの差押え
税金の支払いが滞ると催促状が送られてきます。これは、税金が未納ですから、指定する期日までに支払いをしてください。さもなければ家屋、土地を差押えますよという内容が記載されています。
差押えがされてしまうと、全額返済しない限り原則として売却することさえできません。最終的には行政機関が行う競売である「公売」といわれる手続きで強制的に売却をされてしまいます。
ただし、どのくらいの金額・期間滞納すれば差押えになるとか、公売になるのかは市区町村によっても大きく異なります。
給与や預金の差押え
税金の滞納をしてしまうと、マイホームなどの不動産の差押えが1番にされるのではなく、比較的差押えのしやすい預貯金や給与の差押えがまず行われます。給与が差押えられると、給与の4分の1を上限として強制的に徴収されてしまいます。また、給与の月額が33万円以上の方は、それを超えた分は全額差押えされます。
そして、給与の差押えは会社から直接天引きされますので、滞納の事実が勤務先に分かってしまうことになります。
自己破産しても免責されない
冒頭でも説明しましたが、住宅ローンや他の借金には自己破産などの債務整理をして減額・免責にしてもらうという手続きがとれますが、税金・公租公課には免責はありません。
ですから、税金や公租公課は役所に納めるものだから後回しで良いという考え方は大きな間違いです。
住宅ローンなどの借金は、どれだけ高額であっても支払うことができなければ最終手段として自己破産をすればすべて支払い義務が無くなり再スタートが切れるのですが、税金や公租公課は自己破産しても免責されることがなく、その後も支払わなければならないのです。
差押え資産売却までの流れ
固定資産税はその年の1月1日における所有者に対して課税がされ、春にその所有者に対して納税通知書を送付します。そして、納税されていないものに対して納付期限から20日以内に催促状を送付されることになっています。
これは、地方税法に規定があり、納税義務者からの相談がない場合は、滞納の事実が確認されると速やかに実行されます。
そして、滞納を放置していると延滞金が加算されていきます。催促状が送られても何も相談されず、書類を送られた日から10日以上経過した場合に、法律上では滞納者の財産を差押えしなければならないという法律があるので、法律に基づき差押え対象の財産があるかを財産調査、身辺調査をします。財産調査では、金融機関の預貯金や給与収入等も調査の対象となります。
まず、回収が比較的簡単に行える預貯金や給与の差押えが行われます。預貯金や給与等で滞納分が解消されない場合や他に差押える財産がない場合は、動産の差押えを行うこともあります。宝石や絵画、時計など生活に支障がない贅沢品が差押え対象となります。また、場合によっては不動産が差押えの対象になることもあります。
差押えられた資産は、公売で現金化され滞納分の支払いに充てられるという流れになります。
税金が払えない場合の対応
役所・税務署に相談する
税金を滞納してしまった場合にまずやるべきことは、税金を管轄している役所や税務署に相談をすることです。
おかれている現状を伝えて、納付できる期限や金額を約束することで当面は差押えや公売を猶予してもらえることが多いです。逆に税金滞納をしているにもかかわらず、放置しているとすぐに差押えされてしまい、最悪の場合は自宅を公売で強制的に売却されてしまう可能性もあります。
どうしても払えなければ売却
滞納額が高額で毎月少しずつ納付していても延滞金が加算され全く減らないという状況に陥ってしまったら、最終手段としてマイホームの売却も検討しなければいけません。
そのまま放置して滞納が膨らみ続けると、結局公売にかけられてしまうので、そうなる前に自身で一般の市場で少しでも高値で売却した方が再スタートをスムーズに切れるのではないでしょうか。
自宅を売却しても滞納分を返せない場合
マイホームに税金の滞納で差押えが入っている場合は勝手に売却することができません。役所に差押えを解除してもらう必要があります。
マイホームを売却した代金で全額納付することができれば役所も応じてもらえる可能性がありますので、売却と同時に差押えを解除してもらえるように話をしましょう。
ただし、問題は売却しても全額納付ができないケースがあります。
それは、住宅ローンが残っている場合です。税金の差押えが入っていても返済は住宅ローンの方を優先されます。その場合に問題になるのが、税金が全額返済できない状態で役所が差押えの解除に応じるかということです。
これについては、市区町村の対応にバラつきがあり実際話をしてみないと分からないことがあります。取り急ぎ残った100万円を納付すれば差押えを解除してくれるところもあれば、全額納付しないと解除しないというところもあります。万が一、解除に応じてもらえなければマイホームの売却自体ができなくなってしまいます。
まとめ
このように、住宅ローンの返済滞納で債務整理や任意売却を検討しようとしたときに税金や公租公課の滞納は、足かせとなってしまいます。一般的なキャッシングやクレジットで生じた負債とは全く異なる債務であることを知っておいてください。
税金や公租公課の滞納処分によって、再生計画の履行が不可能となってしまったり、困難となるリスクがあるため、再生計画に入る前に税金や公租公課の滞納がある場合は、この問題を先に解決しておかないといけません。
私たち『住宅ローン返済110番』は「相談実績800件以上」の住宅ローン返済相談に特化した専門家です。
住宅ローンでのトラブルに加え、不動産の調査や査定、任意売却、債務整理のご相談も得意としております。必要な時は司法書士・弁護士・税理士との連携も取りながら、お客様1人1人に最適なアドバイス・解決策をご提案しております。
お悩みやご不安がございましたら、いつでもお気軽にご相談・ご連絡をいただければ明るく笑顔でご対応いたします。ご相談は無料です。
※くれぐれもお悩みはひとりで抱えず、相談には早めのご判断を。