リストラにあった時の住宅ローン対処法
- 2020.09.25
- 住宅ローン
以前に、新型コロナウイルスの影響で企業の倒産や失業者が増えているという記事を書きましたが、これはもう他人事ではありません。いつ誰にでも起こり得る問題だとして対策を考えておく必要があると思います。
中には住宅ローンを抱えている方も多くいらっしゃると思いますので、リストラされてしまい住宅ローンの返済に困難になった時の対処法を解説します。
失業手当について
リストラされてしまうと失業中の生活を心配しないで再就職活動ができるように雇用保険の失業手当を受けることができます。
雇用保険の失業手当は離職して、次の2点いずれにもあてはまる場合に支給されます。
- ハローワークに行って、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思を示し、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。ただし、倒産・解雇等により離職した方については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可です。
失業手当の支給を受けることができる日数(失業手当の所定給付日数)は、年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職理由などによって、90日~360日の間で決定されます。
失業手当の1日当たりの額(失業手当日額)は、離職日の直前の6か月の賃金日額(賞与等は含みません)の50%~80%(60~64歳については45~80%)です。
実際受け取れる失業手当日額には上限がありますので参考にしてください。
29歳以下:6,815円
30~44歳:7,570円
45~59歳:8,330円
60~64歳:7,150円
失業しても、一定期間、一定額が受け取ることもできますが、勤めていた時の収入と比べても少なくなりますので、失業手当から住宅ローンの返済と生活費をまかなうことは厳しいです。なにより給付期間が終了すると収入がゼロになりますので根本的な解決になっていません。
住宅ローンを滞納すると
リストラで失業し、住宅ローンの返済を滞納してしまうと最終的に競売にかけられてしまいます。
住宅ローン返済日に引落しができない場合、当日もしくは数日後に、「住宅ローンの引落しができませんでした。ご入金をお願いします。」と金融機関から支払い請求の電話連絡があります。返済日の翌日から、遅延している元金(月返済額)に対して年14.0%程度の遅延損害金が発生します。
住宅ローンを滞納して1~2ヶ月後には、「支払い請求書」「ご請求の明細」がハガキや郵送で届きます。これが「督促状」です。
内容は「住宅ローンの返済が期日までに行われておりません。延滞金と遅延損害金をまとめてご入金いただきますようお願い申し上げます。これ以上滞納されますと、個人信用情報センターに報告します。特別なご事情がおありの場合は当行まで至急お申し出ください。」というもので、支払いができるのであれば速やかに返済しましょう。
もし、どうしても支払いが困難なのであれば金融機関へ出向いて返済の意思があることを示し、返済条件の見直しなどの相談をしましょう。金融機関からのお願いというスタンスの書面ですが、これを無視して放置してはいけません。ここが金融機関と相談ができるラストチャンスだと言えます。
金融機関からの連絡・催促状を無視して放置してしまうと、住宅ローンを滞納して2~3ヶ月後には、「催告書」が届きます。
内容は「あなたは令和〇年〇月分以降返済がなされておりません。つきましては、期日までに延滞金と遅延損害金の全額をご返済ください。ご返済がない場合、期限の利益を喪失させ、保証会社から代位弁済させ、個人信用情報センターに登録することになります。」というものです。要約すると、「期日までに支払わないとあなたは一括返済するしかなくなりブラックリストに登録をします。」という内容が書かれています。
専門的な用語が多く記されており、金融機関の強硬な姿勢がうかがい知れます。いうなれば催告書は「最後通告」です。
ここで、しないといけないことは指定の金額を支払うことです。この段階で、やっぱりどうしても支払いが困難だから金融機関に相談しようとしても、これまでの連絡や催促状など金融機関からのアプローチを無視してしまっている以上、相談にのってもらえるかどうかは分かりません。ただし、これもまた無視して放置してはいけません。何もしないわけにはいきませんので、ダメもとで相談してみましょう。
また、期日までに支払いが無理、今回は支払えても今後は支払う目処がないという状況であれば、この段階から任意売却や債務整理などの別の手段を考え始めましょう。
連絡・催促状・催告書に次いで、「期限の利益喪失予告通知」が届きます。
内容は「あなたは返済が滞っております。催告書の期日までに、滞っている延滞金と遅延損害金の全額を返済してください。期日までに延滞元利金(遅延損害金含む)全額を返済いただけない場合には、あなたは期限の利益を喪失し、あなたに代わって保証会社から一括返済(代位弁済)を受けることとなり、債権が保証会社に移転します。債権が保証会社に移転すると、不動産の売却処分等、法的手段に進まざるを得なくなります。つきましては、至急ご入金いただきますようお願い申し上げます。」というものです。
金融機関とあなたとの間で取り交わした金銭消費貸借契約に基づいて、住宅ローンの滞納を続けてしまうと、この契約を破ることとなり、分割で支払う権利を失ってしまいます。これ以後、住宅ローンは一括で返済しなければならなくなります。そして、競売の手続きが開始されます。
ここでもまた無視して放置してはいけません。何もしないわけにはいきませんので、ダメもとで相談してみましょう。
期限の利益喪失通知が届いた段階で一括返済できれば問題ありませんが、できなければ予告通り、保証会社から「金融機関があなたに対して有するローン債務の管理回収業務につき金融機関より委託を受けました。つきましては債権管理回収受託者として通知致します。あなたが利用されているローンについて、代位弁済請求の手続きが開始されました」とお知らせが届きます。これが「代位弁済通知」です。
あなたに代わって保証会社が住宅ローンの残債を一括返済しますというものです。
代位弁済が行われると、債権者が金融機関から保証会社へ変わります。
もちろん債務が無くなったわけではなく、引き続き保証会社からの請求がきます。さらに、団体信用保険も同時に解除されますので、何かあった場合でも保険金は下りることはません。そして、延滞金だけではなく住宅ローンの残債、遅延損害金を含めて全額一括返済されない場合は、保証会社は裁判所に対して競売の手続きを進めていきます。
長々と書きましたが、だいたい住宅ローンの滞納から8~9ヶ月で「競売開始決定通知」が届きます。
銀行・金融機関へリスケジュールの相談
うえで書いた事にならないように、住宅ローン返済の支払いが困難になりそうかなと感じた段階で、滞納する前の段階で、住宅ローンを組んでいる銀行・金融機関に相談をしましょう。
返済困難に陥った経緯と、回復見込みがあるかどうかを話しすることで、各金融機関の設定する完済年齢・返済期間を超えない範囲で返済期間の延長を認めてくれたり、一定期間(6ヶ月~1年)は元金の返済を行わず、利息分のみを返済していく一時的な返済猶予などのリスケジュールに応じてもらえることができます。
ただし、リスケジュールは一時的な救済措置に過ぎませんので、収入の立て直しができる方、また、回復見込みがある方には有効ですが、慢性的に収入の回復が見込めないと判断された場合は応じてもらえないこともありますので注意してください。
個人再生の住宅ローン特則
個人再生は債務整理のひとつで、住宅ローンは減額されませんが、それ以外の借金を大幅に減額してもらう手続きです。減額してもらったものは原則3年、最大5年で計画的に返済していきます。
住宅ローン特則は、マイホームは他の財産とは違い生活の基盤となるもので経済的再生に繋がるものですから、裁判所からの許可を受けた再生計画に沿ってマイホームを失うことなく債務者を経済的に再生できるようにするための制度です。
ただし、住宅ローン特則を利用するのにはいくつか条件があります。
- 住宅の新築・リフォームに必要な資金であること
- 不動産に住宅ローン以外の抵当権が付いてないこと
- 債務者本人が所有していること
- 債務者本人が居住用の住宅であること
- 代位弁済後、6ヶ月を経過していないこと
住宅ローン以外の借金がなんとかできれば立て直しができるという方は、個人再生の住宅ローン特則の手続きをお勧めします。個人再生などの債務整理は手続きが煩雑になりますので、専門家に相談するようにしましょう。
任意売却
任意売却は、住宅ローン返済を滞納してしまった時に競売を回避する方法です。
住宅ローンを滞納してしまう状況では、「売却価格<住宅ローン残債」のオーバーローン状態の場合が多いです。その場合は通常売却は認めてくれません。
ただし、そのまま返済滞納が続くと競売にかけられ安価な落札価格になるよりは、高い価格で売却できる任意売却を認めた方が債権回収額の期待ができるので、債権者である銀行・金融機関の同意を得て任意売却を認めてもらえることがあります。
マイホームを売却することにはなりますが、競売と比べて精神的・金銭的なダメージが軽減できる方法といえます。
まとめ
今や新型コロナウイルスの影響で、リストラや失業というのは他人事ではなく誰にでも起こり得ることだといえます。そして住宅ローンを抱えている方は、どうすればいいのか分からないとひとりで問題を抱え込まずに上で書いた事を参考にして早い段階で行動することです。
一番ダメなことは、何もせず放置してしまうことです。できれば住宅ローンを滞納する前に行動できれば解決への選択肢はいくつか残されています。
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