任意売却について 競売との違いや流れ
- 2020.10.05
- 任意売却
病気やケガ、転職やリストラ、離婚や親の介護など理由は色々と考えられますが、これまでの安定した収入が得られず、マイホームを売却しなければならない状況に陥ることがあります。誰にでも起こり得ることだと思いますが、住宅ローンの返済が厳しくなった時の解決策の手段として「任意売却」があります。
住宅ローンの返済を滞納して、数ヶ月続くと債権者である銀行は債権回収のために「競売」の手続きを進めていきます。そうなると強制的に退去させられてしまいます。
今回は、任意売却の流れと期間について紹介していきますので、万が一の場合に参考にしていただければと思います。
競売と任意売却の違い
住宅ローンの返済が困難に陥り、滞納が続き、売却を考えた時に「競売」と「任意売却」という選択肢があります。まず、それぞれの違いについて簡単に説明します。
まず競売は、上でも少し書きましたが、住宅ローンの返済が滞った時に、債権者である金融機関が債権回収のために抵当権の入っているマイホームを強制的に売却する手続きです。具体的には、債権者である金融機関が裁判所に競売の申立てをして、物件の評価が決定した後、入札に参加した買受け申出人の中から最高額で落札した人へ不動産の権利を移転させる手続きです。裁判所主導で強制的に進む点がポイントです。
- 競売は裁判所を通じて行われる手続き
- 競売は売却完了までに時間がかかる
一方で任意売却は、住宅ローンの残債がある住宅を、お金を貸してくれた金融機関との話し合いによって売却する手続きです。競売との違いは裁判所を介さずに売買をしていきます。不動産業者の仲介で売却するため、裁判所からの執行官など現場には入らず、形式上は一般売買と変わらないです。
そして、競売ではだいたい売却価格が市場の50~60%になることが多いのですが、任意売却では市場価格同等とは言えませんが、近い金額で売れるため、債権者にとってもより多くの債権回収ができるのでメリットがあります。競売より高く売却ができれば、住宅ローンの返済も多くできるので、債務者にとっても残債が少なくなるメリットがあります。
- 任意売却は債権者との話し合いによってマイホームを売却する手続き
- 任意売却は市場価格に近い価格で売却可能で、売却完了までがスムーズ
任意売却の流れ
「マイホーム売却価格>住宅ローン残債」のアンダーローン状態の場合は通常売却できますが、「マイホーム売却価格<住宅ローン残債」のオーバーローン状態な場合は、通常売却することができず、債権者である金融機関の合意を得て、マイホームを売却していきます。それが任意売却です。具体的な流れを説明します。
➀任意売却の専門家に相談
任意売却はどこの不動産会社でもできるのですが、債権者との交渉や、手続きが通常の売買取引よりも専門的な知識が必要となります。任意売却の実績のある経験豊富な不動産会社に任せる方が安心につながります。
おかれている状況を説明し、どのような解決方法があるのか、任意売却の手順などの説明を受けましょう。そしてマイホームを売却した時の査定をしてもらいましょう。
➁マイホームの売却査定と住宅ローンの残高確認
任意売却で、相談した後にまず第一にしなければいけないことは「マイホームの売却査定」「住宅ローンの残高確認」の2つです。
基本的に、不動産の価値は築年数が経過するにつれて下がっていきます。マイホームの売却査定については、不動産会社に査定してもらえれば現在の売却価格やエリアの相場を知ることができます。
住宅ローンの残高については、定期的に来る償還予定表、もしくは借入先の金融機関に残高確認をすれば教えてくれます。
この2つが分かれば、アンダーローン状態なのか、オーバーローン状態なのかを把握することができます。アンダーローンであれば通常売却、オーバーローンであれば任意売却を検討するべきです。
➂不動産会社と専任媒介契約を締結
任せる不動産会社が決まれば、媒介契約を締結します。媒介契約には、専任専属・専任・一般媒介契約と3種類あるのですが、任意売却では専属専任か専任媒介契約を結びます。
どちらも1社のみと契約を行うものですが、専任専属と専任の違いは、専任専属は買主を自分で見つけてはいけませんが、専任は自分でも買主を見つけても良いという違いがあります。ですので、専任媒介契約を結べば良いと思います。
どちらかの媒介契約を結ぶことは、債権者との交渉窓口を1本化するためです。
➃債権者に任意売却することの合意を取得
任意売却をする時の大前提として、債権者である金融機関に売却することに合意をしてもらわなければいけません。住宅ローンが返済できない、またオーバーローン状態で競売を回避するための任意売却ですから、「競売ではなく市場で売却して、出来るだけ多くローンの返済ができるようにしたいので」と任意売却をすることの合意をもらわなければいけません。
債権者が複数ある場合は、すべての債権者が納得し合意しない限り任意売却はできません。売却金額、ローンの返済方法、引越し費用の控除項目などを配分表に作成し交渉をしていきます。配分表とは、不動産の売却金額から各債権者のローン残高、仲介手数料、抵当権抹消費用(ハンコ代)などを差し引いて、売却金額をどう配分するかを明記したものです。
➄販売活動の開始
債権者との交渉で合意が取れれば、販売活動が始まります。
任意売却は競売と違い競りにかけられるわけではなく、一般売買と同じように売りに出します。不動産流通機構「レインズ」への登録、各住宅情報サイト、住宅情報誌などに掲載され多方面に販売活動を進めていきます。
購入希望者が現れたら、内覧の対応も出てきますので物件はきれいな状態にしておきましょう。
➅購入者の決定と債権者の同意
購入希望者が現れると買付証明書を作成してもらい、債権者に提出します。債権者には売却価格から各債権者のローン残高、仲介手数料、抵当権抹消費用(ハンコ代)、印紙代、管理費滞納分、税金滞納分などを差し引いた配分表を提出し、同意を取り付けます。
➆売買契約の締結
無事に債権者の同意を取り付け、購入者が決まれば、売買契約の締結となります。一般的な不動産売買と同様に、決済日までのスケジュールを決めて手付金を受領します。ただし、売主が金銭的な理由で任意売却となっているので、手付金は不動産業者が決済日まで預かっておくのが一般的です。
➇決済と引渡し
売買契約からおよそ1ヶ月後に決済と物件の引渡しを行います。併せて抵当権の抹消手続きなどすべてを行います。任意売却の場合は、売却代金から引越し代、印紙代、抵当権抹消費用、不動産業者への仲介手数料などの費用を取り分け、支払ったとの残金が住宅ローンの返済に充てられます。
引っ越しについては、引渡しまでに完了させておかなければいけません。引渡し時に売却代金から引越し代を捻出してもらう事も可能ですが、引越し費用の全額が出るわけではないので、住宅ローンを滞納している間にある程度確保しておきましょう。
➈債権者との残債務の返済計画を取決め
任意売却をして住宅ローンを返済しても、オーバーローン状態での売却なので債務は残ります。今後の返済計画を債権者と話し合いをして、無理のない形で少額(5,000円~数万円)の分割返済ができるようになります。
任意売却が可能な期間
任意売却は金融機関の合意を得て出来るのですが、いつでも可能というわけではありません。任意売却が可能なタイミングというのは住宅ローンの滞納が数ヶ月続き、債務者に代わって保証会社から一括弁済をされる「代位弁済」が行われた後から任意売却は可能となり、競売の「開札前日」までと決まっています。
それまでに販売活動から決済引渡しまでを完了させる必要があります。時間に限りがありますので任意売却を検討するのであれば、住宅ローンの返済が滞る前の、滞りそうという早いタイミングから相談ができれば良い結果につながる可能性が高いといえます。
まとめ
住宅ローンの返済に困ったときに、任意売却をすべきか、他の債務整理にすべきか自身で考えても判断ができない場合は、一人で悩まずに早い段階で専門家に相談するようにしましょう。
返済の滞納が続いている場合は特に、手遅れになってしまうと「競売」しか選択肢が残されなくなってしまうことになり、再スタートを切るにも精神的・金銭的な負担が大きくなってしまいます。
住宅ローンの返済が厳しくなってきた、オーバーローン状態で通常売却ができない、このような場合は、任意売却を検討するべきです。そして、任意売却には活動期間の制約がありますので、何度もいいますが、早い段階での相談が有効です。
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